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更新日:2024年3月29日

矢作川水源の森分収育林事業(令和4年3月31日をもって終了しました。)

安城市は長野県根羽村の「矢作川水源の森」計画に協力して、平成3年度から平成33年度までの30年間「山のオーナー」として森林の共同経営(「矢作川水源の森」分収育林事業)をしております。

森林は、根羽村の南東部、茶臼山の北斜面で標高1,000mから1,300mの高さにあり、面積は48.21haで、安城市野外センターに隣接し、矢作川の最上流部になります。

この森林は、「矢作川水源の森」となる以前は、矢作川源流域の根羽村と飯田営林署が昭和8年に植林した官行造林で、既に60年近くたつヒノキなどが大きく育ち、近々に伐採されることになっていました。

しかし、伐採されることにより山そのものの崩落の危険性並びに景観破壊等を心配した根羽村では、茶臼山山麓の新たな伐採を取り止め、飯田営林署から払い下げを受けて残すことを決定しましたが、経済的負担について問題が残りました。そこで明治用水土地改良区を通して、近くに野外センターをもつ矢作川下流域の安城市に協力を求めてきたものであります。

安城市としましては、矢作川は母なる川でありますし、矢作川の水を源として明治18年に明治用水が開さくされ、キツネの住む安城ケ原が見事な美田と変わり、日本デンマークと称される農業地帯となりました。また、安城市野外センターを建設するときには、根羽村の大変なご協力をいただいており、安城市内の全ての中学生や市民が自然にふれあう学習体験をしております。こうしたことから矢作川の最上流の水源涵養と、森林保護のほか、野外センター周辺の環境保全にも役に立つとして、「山のオーナー」として森林の共同経営(「矢作川水源の森」分収育林事業)に参加することになりました。

根羽村と取り交わした契約の内容は、つぎのとおりです。

  1. 契約の存続期間は契約締結の日から平成34年3月31日までとする。
  2. 契約対象樹木は共有とし、その持分割合は2分の1ずつとする。
  3. 30年間にわたり現在あるヒノキ林等を安城市と根羽村で維持管理する。
  4. 森林の管理費用並びに将来伐採したときの収益は2分の1ずつとする。
  5. 払い下げを受ける立木代等の費用は、安城市と根羽村で2分の1ずつ負担する。

なお、この分収育林契約は、平成3年4月森林法に新たに付け加えられた「森林整備協定」に基づく全国初めての契約であります。

この森林の共同経営の目的は、矢作川の最上流にあるために水資源の涵養と森林を保護することですが、安城市野外センターと隣合わせであるため、この環境を活かして、安城市民が自然の中で森林浴や散策を楽しむことも目的とし、現在は林道等の整備も進めております。

矢作川水源の森分収育林事業のまとめ

平成3年から約30年間に渡る分収育林事業では、遊歩道の整備や森を健全に保つための間伐などを実施するとともに、上下流域住民の交流事業として、植樹祭などを実施しました。また、適切な森林管理を継続的に行い、平成29年度には、国際規格である「森林認証」(※1)を取得することができました。

事業期間の支出については、平成3年に取得した樹木の所有権及び地代の約1億4,500万円に加え、約30年間の管理費、整備費等から間伐材売却収益等を差し引いた約2,850万円を支出しました。

また、本契約は、期間満了(令和4年3月31日)までに森林を皆伐し、木材として処分する収益事業ですが、令和3年度時点での木材価格と同程度の経費が見込まれること、30年間で森林の意義・役割が大きく変化し、木材生産機能はもとより、防災、環境、教育など公益的な機能が強く求められてきていることから、根羽村と協議を重ねた結果、当分の間は樹木を残すべきであるという判断に至り、皆伐をしないことを主旨とした変更契約を締結し期間満了を迎えました。

なお、令和4年4月1日からは、分収育林契約の理念を引き継ぎ、より環境保全に重きを置いた「矢作川水源の森」環境育林協定を締結しております。

矢作川水源の森分収育林事業において、森林整備等でご尽力いただきました皆さま、各種イベントにご参加いただきました皆さまには深くお礼を申し上げます。ありがとうございました。

shashin     shokujusai

       整備された森林の風景                  植樹祭の様子

※1森林認証…適正に管理された森林から切り出された木材などに認証マークを発行し、持続可能な森林の利活用・保護を図る制度。

環境省ウェブサイトにも掲載されました

生態系サービス※への支払いにおける日本の優良事例として、環境省ウェブサイト上で矢作川水源の森分収育林事業が紹介されています。

生態系サービスへの支払い(PES)~日本の優良事例の紹介~(外部リンク)

※生態系サービス=ミレニアム生態系評価(平成13年から平成17年にかけて行われた国連主唱による地球規模の生態系に関する総合的評価)で定義・分類された人類が生態系から受益するサービスのこと。

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電話番号:0566-71-2210