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更新日:2017年4月7日

平成27年度の調査

別郷廃寺跡(別郷町)

 別郷廃寺跡は、奈良・平安時代(およそ1300年前)の寺院跡です。平成25年度の調査では、大量の古代瓦が廃棄された土坑が見つかり、規模は不明ながら瓦葺建物の存在が明らかとなっています。

 今回の調査は、これまで町内に残されていた土塁について、発掘調査を行いました。調査の結果、土塁は戦国期以降に構築されたものであること、土塁の下には中世の溝や古代の掘立柱建物跡、竪穴建物跡などが見つかりました。

 掘立柱建物跡に関しては、別郷廃寺に関わる建物である可能性が高いとみられます。これまで寺院に関係する建物跡は見つかっていなかったため、初めて建物跡を確認したことになります。未だ金堂や講堂などの主要な建物は見つかっていませんが、別郷廃寺の歴史を紐解く大きな手がかりと言えるでしょう。

 さらに、別郷廃寺より前の時期、古墳時代中期(およそ1550年前)の土器も見つかりました。別郷廃寺跡周辺では、これまでの調査でも古墳時代とみられる土器がいくつか見つかっており、別郷廃寺が造営される前に集落が存在したことをうかがわせる、重要な資料です。

 

 

    

   土塁(東から撮影)                     完掘1(西から撮影)        完掘2(東から撮影)

  

 古墳時代中期の土器 出土状況             出土遺物                           緑釉陶器

北加美遺跡(小川町)

 北加美遺跡は、今回の発掘調査により新規発見された遺跡です。

 調査の結果、300基を超える室町時代から江戸時代の遺構・遺物が見つかりました。特に、室町時代から戦国期の掘立柱建物跡、地下式坑、火葬施設、井戸が注目されます。遺跡の近くには、石川政康が文安3年(1446)頃に築いたとされる小川志茂城跡などがありますが、この周辺でこのような居住域や墓域が確認されたのは初めてのことです。

完掘(南から撮影)

出土遺物

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜井城跡(桜井町)

 桜井城跡は、戦国期に築かれた桜井松平家の城館跡です。徳川家康の関東移封に伴い廃城となったとされています。桜井城跡周辺で発掘調査が行われるのは、今回が初めてです。

 調査の結果、城館に直接関係する遺構は見つかりませんでしたが、桜井城と同じ時期の井戸や、古代の溝などを確認しました。井戸は、直径2~3mある大型のものが複数見つかりました。複数の井戸が集中して見つかったことから、この場は居住域というよりは、生産活動の場であったと考えられます。井戸の中からは、戦国期の鍋などが出土しています。また、井戸周辺からは、瀬戸窯で焼かれた陶製狛犬の破片も出土しました。陶製狛犬は、伝世した優品はいくつか知られていますが、遺跡から出土したのは三河では初めてのことです。

 古代の遺構は、桜井城跡周辺では初めて発見されたもので、この周辺で、桜井城跡が築かれる前から人々の生活が営まれていたことがわかりました。

 

 

 調査区完掘1(西から撮影)                                 調査区完掘2(北西から撮影)

  

 井戸(東上から撮影)                           陶製狛犬

 

 出土遺物

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