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更新日:2016年7月12日

2016年6月

6月27日(月曜日)

そもそもこの欄は、1週間に市内で起きた身近な出来事をふり返るものなのですが、ここのところ参議院議員選挙、東京都知事の辞職と大ニュースが続きましたので、これら全国レベルの話題をとり上げてきました。そして、いよいよ本来のローカルな話題に立ち返ろうとした時、今度はイギリスの国民投票でEU離脱という出来事が起きました。今回はこの国際的なニュースを、私なりに考えてみました。

 

EUは1993年(平成5年)に、マーストリヒト条約発効によって誕生しています。2度にわたる世界大戦への反省から、その火種となったフランス・ドイツの石炭と鉄鉱石を巡る権益を、周辺国も含めた超国家的な管理にすることを目的に、1952年に6か国で設立されたECSC(European Coal and Steel Community)を原点としています。その後、さらに領域を拡大し加盟国を増やしつつ、EEC(European Economic Community)からEC(European Communities)へ、そして現在のEU(European Union)へと進化し、加盟国数は28もの民主主義国から成ります。

私自身、国際社会学は不勉強ですので深くは語れませんが、辞書によれば各名称末尾CのCommunityは社会集団を意味し、共通の利害を持つ「国家群」とされます。一方、末尾UのUnionは同盟を意味し、共通目的のための「連合国家」とされています。初期のECSCから徐々に国家間の親密度を深め、現在のEUでは経済だけでなく外交や安全保障、欧州市民権、さらには域内の司法や政治統合にまで守備範囲が広められました。

EU統合前後は、加盟した国々のバラ色の未来が喧伝された記憶がありますが、加盟国の拡大と関係の深化により、EU本部で創られるさまざまな規制を嫌う人々が増え、加盟各国の中では様々な軋轢(あつれき)が生まれていたようです。マスコミ報道によれば、イギリスの離脱推進派が挙げたEUの細かな規制には、「風船を膨らませてもよい子どもの年齢制限」、「美容師の業務中のハイヒール着用禁止」、「商品のバナナの房の本数規制」などが事例として挙げられたそうです。

上記規制の信ぴょう性は定かではありませんが、欧州大陸にあるベルギー王国のブリュッセル市に本部を置くEUが、加盟国に一律の規制をかけ続けることへの大きな不満が蓄積されていたものと考えられます。また人・物・お金の移動の自由が認められ、それによる社会的な格差が問題になっていたようです。

 

比較の次元は異なりますが、日本でもこれまで地方分権や規制緩和の議論により、具体的な地方分権化が徐々に進められてきています。その際によく耳にしたのは、「気候も生活習慣も異なる北海道から沖縄までの社会ルールを、東京に住むリーダーたちが一律に推し進めることがよいのか」という意見です。つまり昔からの中央集権的な社会制度のままでは、地方の活力は失われるばかりで、地方に裁量権を与えることで真の地域活性化が実現するという声が大きくなってきました。さらに日本では国家財政のひっ迫もあり、小泉政権当時の「三位一体改革」では、地方の自立を求める動きが顕在化しました。

EUではこうした日本の動きとは逆に、国家ごとの自由裁量のあった地方(国家)分権体制から、EU本部の指令による中央(EU)集権体制への移行が進んで来ていたのでしょうか。北はスウェーデン・フィンランドから、南はイタリア・ギリシャまでの広大な圏域を、一律のルールで縛(しば)ろうとしたのであれば、域内各地からの反発は不可避だったと思われます。

また移民や難民の問題も、EU圏内各国で社会的な摩擦の火種となっており、移民・難民への排他意識が強まりつつあるという気運も、イギリスのEU離脱の背景にあると言われています。経済的な問題、人道的な対応など、乗り越えねばならない課題は多いのですが、民主主義の歴史の長いイギリスでこそ、こうした難題を民主的な議論により乗り越えて欲しかったと残念に思います。

 

遠い異国での出来事を日本に置き換えて考えること自体、日本人としてのガラパゴス的な発想なのかもしれません。しかし、先進国イギリスで起きた出来事の日本への影響は気になります。また私の場合は娘がドイツに暮らしているため、遠いEU圏の出来事ながら今後のイギリス周辺国への影響も心配しています。

6月20日(月曜日)

15日(水曜日)、舛添要一東京都知事が辞職願を提出しました。人口が1千万人を超し、さらに財政規模は一般会計だけで7兆円を超す東京都です。安城市は人口18万6千人、一般会計の規模は700億円強と、けた違いの都市規模ですので、それまで私自身は都政に特別な関心はなく、同じ地方自治体でありながらも別世界と受け止めていました。

人口は小さな国家並み、そして財政規模は中規模の国家予算並みと表現される東京都です。こうした国際的な首都の知名度とご自身の高度な語学力を生かす形で、舛添知事は精力的な「都市外交」を展開すべく世界の主要都市を訪問され、東京五輪のPRを含めてそれなりの成果を挙げつつあったようでした。私も時折そうしたニュースを見聞きしていましたが、こうした都市外交がなぜか国家外交に匹敵する大がかりで豪華な事業となってしまっていたようです。

とかく外交下手といわれがちな日本にあって、主要国の首都交流を通じて日本と東京五輪をアピールしようというその発想は輝いただけに、都民感情として許される範囲の都市外交に留められていれば、それなりに地方自治体の新たな可能性が示せたのではないかと残念に思います。半世紀ぶりの東京五輪の成功に向け猪突猛進されるうち、知事というご自身の置かれた立場を見失ってしまわれたのでしょうか。

 

その翌日、今度は日本を揺るがす別のニュースが流れました。イチロー選手の「日米通算4257安打達成」です。「大リーグ記録ではない」とか、「日米の野球レベルの差がある」とか、あれこれ異論はあるようですが、私はともかく25年間黙々と実績を積み上げ、42歳にして4257本ものヒットを打てた彼に心の中で大きな拍手を送りました。

試合開始前のグランド練習では、いつもしっかり入念なストレッチングをし、実戦さながら全力でのベースランニングを繰り返す彼の姿が見られたと、現地のマスコミ記者が語っていました。彼は常に自分の最高の能力が出せるように、こうした目立たぬ努力を重ね続けてきており、その集大成としての大記録といえましょう。日米の条件の差はありますが、大半のアメリカ国民も彼の記録を称賛してくれているようです。

比較の次元が違うものの、華やかな演出が過ぎた舛添氏の都市外交よりも、異国での地道な努力が実を結んだイチロー選手の方が、日本国家のよきアピールにつながったような気がします。

 

今日、日本に限らず国際的に、政治が大衆受けを狙うポピュリズムに染まりつつあると危惧されています。マスコミやインターネットで取り上げられることが、選挙での得票獲得やイメージアップにつながるとばかり、派手な行動や過激なことばでアピールする政治家や候補者が増えてきているように感じます。ことによると舛添知事の逸脱した都市外交も、その一例だったのかも知れません。

特大ホームランを狙う目立とう精神の政治家だけが立派ではなく、コツコツと地道にヒットを重ねるイチロー選手のような政治家も評価をされるべきではないでしょうか。これから始まる選挙の喧騒からはやや距離を置き、それを冷静に見極めようとする有権者の政治意識が醸成されれば、この国の政治も大きく変わってゆくことでしょう。

間もなく始まる参議院選挙の直後には、東京で知事選挙までもが実施されることとなりました。「政治は国民を映す鏡」といいます。舞台を去りゆく政治家に罵声を浴びせる前に、どうして、まただれが、その人を選んでしまったのかを私たち一人一人が自問し、国・地方それぞれの政治は本来どうあることが望ましいのかを考えることが大切だと痛感させられました。

6月13日(月曜日)

6月7日(火曜日)・8日(水曜日)の2日間、東京で全国市長会の総会をはじめとする各種会議が開催されました。これらの会議の結果、私は引き続き全国市長会の財政委員長を務めることとなりました。財政委員長としては、これで4年目を迎えることとなります。大変光栄なことと感じる一方、正直のところ私が受け続けることがよいのかという若干のためらいもありましたが、ご指名をいただいた以上、精一杯務めさせていただく所存です。

財政委員長就任あいさつ

【財政委員長就任あいさつ】

さて6月1日に、安倍首相が消費税率10%への引き上げを2年半延期すると表明されました。これまでは平成29年4月とされていた引き上げ時期が、平成31年10月に延期されることになりました。現在の消費税率8%を10%に引き上げるという政策見直しは、すでに1年半ほど前の衆議院選挙で先送りとされていましたので、これで2回目の先送りがなされることとなりました。

全国市長会での地方財政に関わる議論は、近年この消費税の見直しに振り回されてきたというのが私の率直な感想です。私自身も消費税の引き上げについての感想を問われれば、個人的な感情としてはやはり「税金は安い方がよい」と答えたくなります。しかし、国家財政が極めて厳しい状況に追い込まれている事実を知っており、また足元の各地方自治体では少子高齢化に歯止めがかからない現実がある以上、増え続ける福祉財源をどこかに求めねば、現行レベルの福祉施策が持続できなくなってしまうと案じています。

現に本市の平成27年度一般会計当初予算では、健全財政を誇りながらも福祉のための支出「民生費」は37%に達しており、市の財政の4割近くを福祉関連が占めるという状況となってきています。平成28年度はアンフォーレ建設など投資的経費の大きな伸びによる当初予算の増額があったため、民生費の比率は32%ほどと下がりましたが、基本的人権にかかわる民生費を切ることは不可能なため、本市のみならず全国の地方自治体から財政的な自由度は失われてきていると思われます。

よって今の地方財政の実状で、福祉以外の新たな地方経済対策を実施するのには無理があります。そんな地方都市の現状に思いを馳せれば、一個人としての感情は別として、社会保障の目的税としての「消費税引き上げは予定通りに進めていただきたかった」というのが、安城市長として、また全国市長会の財政委員長としての本意でした。

政策推進委員会(役員会議)

【政策推進委員会(役員会議)】

マスコミ各社の最近の世論調査では、消費税率の引き上げの2年半再延期を「評価する」と答えた人が過半数を占めたことが示されています。今の率直な国民の気持ちを数字で表せば、確かにその通りなのでしょう。しかし、もしもその設問に「あなたは国の財政運営に不安を感じますか?」が加えられていたなら、おそらくほとんどの方が「不安を感じる」と答えたことでしょう。

多くの国民ご自身も、家計の自己防衛意識、国家財政への不安感、そうした相反する自己矛盾の中で判断に苦しんでおられるというのが現実でしょう。曖昧模糊(あいまいもこ)とした国民心情ではありますが、冷静に考えれば政治家も国民も苦しみを分かち合うことを前提とし、具体的な未来への選択肢を示すのが責任ある政治ではないでしょうか。未来への不安が払しょくできなければ、少子化からの脱却も夢物語に終わるような気がします。

間もなく参議院議員選挙が始まります。私は上記のような財政的な強い問題意識を持って、候補者各位の選挙広報や演説を見聞きし、私なりの1票を投ずるつもりです。「政治は国民を映す鏡」と言われます。国際的に見ても、日本国民の私たちが未来に向けた正しい判断をしたと言われるような結果が生まれることを願っています。

6月6日(月曜日)

私事で恐縮ですが、6月4日が誕生日でしたので58歳を迎えました。私が市議会議員に初当選したのが昭和62年。当時、私は28歳でしたので、これで政治の世界に入って30年目を迎えることとなりました。市議会議員として16年弱、そして市長として14年目を迎えていますので、地方政治家として合計30年目です。

この間古くは、昭和末期のリクルート事件、平成バブルからその崩壊、阪神淡路大震災、さらに「元気な愛知」と呼ばれた時代からリーマンショックに至り、東日本大震災発生から今日に至っています。まれに見る好景気とその反動の不況、天下泰平から震災の地獄絵図へと、思いもよらない社会の大波に揉まれながら、時代にかなった地方自治体の役割を考え、また本市の危機管理のあり方を問い続けてきました。

 

20代で私が市議会議員になった頃、当時若い地方議員の数が極めて少なかったため、目立とうと思わないのに注目され続けてきたという記憶があります。その後38歳で市議会副議長に就任させていただき、43歳で市議会議長を務めました。そして市長就任は44歳で、東海3県では最も若い市長とマスコミに紹介されたことを覚えています。

おそらくかつての私へは、若さに期待する視線が半分、そして未熟さを案じる視線が半分、といったところだったのでしょう。私もそんな世間の目は自覚しておりましたので、常に自分自身に言い聞かせてきたのは、「ともかく自分の短絡的な行動で多くの方々を落胆させてしまうことのないように」でした。

この地域の数少ない若手政治家だった私が、軽率なつまずきで存在感を失えば多くの方が落胆され、私の後に若い政治家を育てようとする社会的な機運が失われてしまうのではないかと危惧しました。私への政治的な評価は、私個人の問題にとどまらず、後に続く若い人たちの政治への門戸を閉ざしてしまう可能性があったため、常に若手代表を意識しながら地方政治の世界で頑張ってきました。

奥穂高岳を望んでの冬山訓練

【奥穂高岳を望んでの冬山訓練】

若い市議会議員の頃、議会の役職者に選ばれ、親ほど歳の離れた大先輩と同等の評価を得ねばならないと考えますと、その精神的な重圧は大きく、眠れぬ夜を数多く過ごしました。そして、その重圧を超克するためにと、一人で険しい中部山岳地帯に向かうようになり、人生の山々を命がけで乗り越える鍛練を積み重ねてきたのが私の市議時代でした。

若いからこそできたやや無謀な冒険でしたが、さすがに市長就任とともに死と隣り合わせの冒険からは離れました。しかし、真に命がけで目標に向かうという体験を経て、今の私があり、今の安城市政があるような気がします。政治的な危機に遭遇した時、また前例のない社会状況に直面した時、さすがに緊張はするものの案外度胸をすえていられるのは、こうした命がけのトレーニングの賜物ではないかと思うことがあります。

一人で行く山の世界では自分以外に頼れる人間は存在しませんでしたが、下界の地方政治の世界では周囲の温かな善意の手を差し伸べていただきました。そんな人間社会の温かな人情に支えられて、市長就任14年目を迎えることができました。

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