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更新日:2017年6月21日

今月のメッセージ

全国と安城市 自治体財政の推移

6月7日(水曜日)、全国市長会総会を始めとする各種会議が、東京で開催されました。一連の会議で、講師としてご出席くださった総務省の自治財政局長から、地方自治体財政の課題についてのお話をいただきました。その時示された資料「地方財政の歳出の推移」に、全国の地方自治体の置かれた状況がよくまとめられており、以下にお示しすることとしました。

ただし、この「全国の地方財政」には、都道府県の財政も含まれていますので、その点ご承知おきください。

1、全国地方財政の推移

国の地方財政計画推移グラフ

平成に入ってからの29年間の歳出では、まず平成4年度から顕著な歳出増加が見られます。その後も投資的経費を柱とする莫大な歳出が平成14年度まで、約10年間近く続きました。これは、平成初期のバブル景気崩壊による景気対策として、全国で建設事業への公共投資が進められたためで、いかに巨額の投資が続けられたかがうかがえます。

この間の急な投資的経費増へは、地方債の借り入れ(自治体の借金)による対応が図られ、地方自治体の地方債は増え続けました。平成9年度あたりから、それを返済するための「公債費」増加が目立ち、地方債の返済による重い負担は現在も続いています。

一方、平成16・17年度あたりから、社会保障関係費が大きくなり始めました。平成17年度の国勢調査で、日本の高齢化率は20%を超えたことが確認されていますが、この辺りから少子高齢化対応への歳出増が始まったものと思われます。

こうした国・地方を挙げての少子高齢化対策にも関わらず、平成23年から日本は人口減少社会に入ったため、全国的に勤労世代からの税収入の増加を期待しにくい時代となってきました。また平成20年秋にはリーマンショック、そして23年春には東日本大震災と、予期せぬ緊急事態の発生が経済活動にも大きく影響し、個人・法人を問わず住民税には以前のような安定感がなくなりつつあります。

こうした歳入の縮小を心配しつつも、経済振興や雇用確保、被災地復興や支援活動など、平成20年度以降は想定外の財政出動を求められる時代が続いています。残念ながら地方財政の厳しい状況は、まだまだこれからも続くものと見込まれます。

2、全国の地方自治体と本市との比較

ところで全国の地方財政と安城市の財政とでは、状況はずいぶん異なっています。全国的な地方自治体財政の推移と、本市財政の推移の違いから、今まで気づかなかった何かが見出せるのではないかと考え、年次変化を追ってみました。ただし財政規模が、全国の地方財政総額は「兆」単位、安城市は「億」単位と、かなりの開きがありますので、ここでは尺度を変えて比較しやすいグラフにしました。よって数字の単純比較ではなく、増減の変化のようすに着目してください。

1.給与関係費(人件費)の変化

・全国的な変化

給与関係費

自民党の小泉政権(平成13~18年)当時、「三位一体改革」という地方行政改革が進められ、それによって国からの地方交付税や補助金が削減されたため、地方自治体の財政はひっ迫し行革の断行を迫られました。また、合わせて平成17年から18年にかけて、いわゆる「平成の大合併」という市町村合併が全国的に進められました。この合併により、地方自治体では職員定数の削減が進められ、全国的に平成20年度以降、職員給与費の減少が続いています。

・本市での変化

人権費(市)

本市では、平成15年度に人件費の大幅減少が見られますが、これは消防が広域連合に移行されたためであり、「人件費」が「負担金」に付け替わったことによるものですので、実際の人件費が減少した訳ではありません。その後、人件費は平成22年度から24年度にやや増加を示しておりますが、この時期は定年退職を迎えた職員が多く、退職金の増加による影響が出たものと思われます。

平成24年度の大量退職後は、人件費はやや減少しますが横ばい状態になります。本市では今なお人口増加が続いており、これに対応するため職員定数の削減はしておりません。また特に近年では、働く女性の増加につれて保育ニーズの高まりがあり、むしろ保育士の増員を図らねばならない状況です。

2.社会保障関係費(扶助費)の変化

・全国的な変化

社会保障関係費等の一般行政経費(国)

65歳以上の高齢者が総人口に占める割合を「高齢化率」と言います。国際的な定義によりますと、高齢化率が14%を超えた社会を「高齢社会」とし、21%を超えた社会を「超高齢社会」としています。国勢調査によりますと、平成7年に日本は高齢社会となり、その後、平成19年には超高齢社会に入っています。こうした高齢化率の急激な上昇に伴い、社会保障費は増加を続けてきましたが、これに加えて民主党時代の平成22年度から「子ども手当」が開始され、子どもへの手厚い手当ても始められたことで社会保障費の伸びはさらに増幅されました。

・本市での変化

扶助費(市)

本市では、社会保障費に該当する費目を「扶助費」とし、主に生活困窮者、身体障害者等の生活維持のための歳出を拾い出しました。大きな動向は国とほぼ同様の形となっていますが、本市の場合、平成16年度と22年度に増加が目立ちます。

平成16年度からの増加につきましては、私が市長に就任し選挙公約として子ども医療無償を、それまでの4歳以上から就学前に引き上げたことによる影響です。また、平成22年度につきましては、国の施策として「子ども手当」の支給を開始したことによるもので、こうした社会制度変更で扶助費の伸びが大きく変わることが確認できます。

3.投資的経費

・全国的な変化

 

 投資的経費(国)

「コンクリートから人へ」を謳(うた)い、公共建設事業を減らして社会保障や子育て支援に財源を回すとする平成21年の民主党政権誕生に合わせて、投資的経費が極端に減少し始めます。その発想にはある一定の共感が寄せられたものの、リーマンショックの後遺症が残る時期のこうした政策転換により、建設業界は疲弊し将来を担ってくれるはずの貴重な人材の流出が起きました。

さらにタイミングの悪いことに、平成23年春には東日本大震災が発生し、被災地の復旧・復興、さらに全国的に緊急な耐震補強の必要性が生じた上、各地で老朽化した公共施設の建替えも表面化してきました。しかし、社会保障費の膨張により財源見通しが立たないためか、全国の多くの自治体で新たな公共投資を実施できる状況にはないようです。

全国的には、耐震補強が必要とされながらも未実施という自治体の公共施設が、平成27年度末で21%ほども残されている他、防災拠点とされる公共施設の耐震補強も未実施率が10%を超えるという数字は気になります。

・本市での変化

投資的経費(市)

私が安城市長に就任したのは平成15年です。就任直後には、桜井駅の鉄道高架事業という大規模建設事業を一時的に延期させ、その一方、小中学校の校舎など緊急時に防災拠点となる身近な公共施設の耐震化を先行させるという政策転換を図りました。こうした優先順位の組み換えで財政力の回復を図り、後に時期を見計らって鉄道高架化を進めるという行財政改革を目指しました。

おかげで本市財政は安定感を取り戻すことができ、事業化がやや遅れたものの、平成20年度には高架化された名鉄桜井駅と新設の南桜井駅を同時開業させることができ、また28年度中には待望の拠点施設アンフォーレを建設することもできました。名鉄桜井駅周辺、JR安城駅南それぞれの区画整理事業を進めつつ、さらに目玉事業として大型公共施設の建設(桜井駅高架化、アンフォーレ建設)を進めてきたため、近年の投資的経費には2つの山が見られます。私自身はそれが財政的なめりはりを示しているものと自負しています。

4.公債費

・全国的な変化

公債費(国)

地方自治体の借金返済は「公債費」とされ、平成12・13年度以来現在に至るまで高止まりが続いています。この原因は、平成のバブル経済崩壊後の景気対策にあったと思われます。平成4年から14年度までの10年間近く、国のかけ声により全国の地方自治体で積極的な公共投資が続きました。国は元利償還金の一部を、地方交付税で支援するという誘導策をとったため、一時期は地方単独事業が大幅増加をしました。

しかし、国であれ地方自治体であれ、借りたお金はやがて返さねばなりません。しかも利息をつけて返済することとなり、借入金の大きさや返済年数の長さにより、利子もかさむことになります。かつて地域の経済対策に借り入れたお金は、現在も公債費という費目で返済され続けており、地方財政の圧迫要因になり続けていることがうかがえます。

・本市での変化

公債費(市)

本市の公債費は平成16年度に一時突出していますが、これは国の指導による市債の借り換えが行われたためで、表面上は激増したように見えますが、実際に大きな変化があった訳ではありません。

また私の市長就任以降、幸いにも愛知万博の前後数年間で「元気なあいち」という時代があり、短期間で財政状況を好転させることができました。それを機に、できるだけ借り入れを抑制し自己資金で各種事業を推進することに努めたため、特に平成20年度あたりから公債費は徐々に減少を続けてきました。財政運営は自己努力が基本ですが、運の良し悪しという側面もあると思っています。

3、むすび

平成初期のバブルとその崩壊後は、阪神淡路大震災、オウム真理教事件、リーマンショック、東日本大震災、さらに未曾有の少子高齢化と人口減少など、過去に前例を見ないような事態が次々に発生し、官民を問わず組織のリーダーは大変難しい判断を迫られる状況が続いてきました。

私が市議会議員に初当選し、政治の世界に入ったのは昭和62年5月です。その後、平成15年2月に市長に就任して今日に至っており、日本の政治を取り巻く状況や、この地域社会の変化は承知しているつもりでした。しかし、こうして年度を追って、全国の地方自治体の財政と本市の財政を回顧しながら比較してみますと、本市の健全な財政状況が本当にありがたいと実感されます。

また改めて、全国の地方自治体が国のかけ声にいかによく従い、バブル崩壊後の景気対策に協力してきたかも伝わってきます。しかし、小泉政権当時の国の財政改革を最優先とした三位一体改革は地方財政をひっ迫させ、さらに民主党政権当時の極端な公共投資の抑制策は、全国的な災害対策への足かせになったのではないかとの懸念が残ります。平成の時代は未曾有の事態の連続により、国の政策が短期間で目まぐるしく変えられたことで、地方の行財政がかなりふり回されてきたという印象を持ちます。

平成7年の阪神淡路大震災以降、「危機管理」ということばがよく使われるようになり、平時からいざという時の備えがいかに重要かが周知されるようになりました。しかし、危機管理というものを単に災害予防や避難対策に限定するのではなく、災害発生後の復旧・復興、経済情勢急変への対応なども含め、広義にとらえた備えというものを進めておくべきだと気づかされます。

そのためには「財政の危機管理」という発想も重要であり、その際は基本的に国や県への過剰な依存心を排除して準備を進める必要があるでしょう。自治ということばは、本来「自分や自分たちに関することを自身の責任で処理すること」という意味を持ちます。どんな状況にあっても、自治体そのものが自立して行動できるような危機管理の視点を持ち、行財政全体での備えをしておく必要性を感じました。

安城市では、幸いそんな理想に近い財政運営を進めることができました。今後も健全財政を堅持し、いざという時にも市民の皆さんの生活を守ってゆける身近で頼りになる行政機関であらねばならないと思っています。

 安城市一般会計歳出決算の推移グラフ

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