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更新日:2017年7月20日

1.オレゴン州ポートランド市

1)市の概況

ポートランド市(以下「ポ市」と略)は、2013~2015年の3か年連続で、アメリカ人が住みたいまちNo.1に選ばれたそうです。このため2016年にはアメリカで最も人口増加率が高いまちとなり、1週間で400人のペースで人口が増えていると聞きました。これは年換算にすると約2万人近い数字となり、現在62万人の都市規模といえども人口の急増にどう対処するのかは、大変重大な課題となっています。

アメリカ人が、ポ市に住みたいとされる理由はいくつかあるようです。以下、現地ガイドよりお聞きした点を挙げてみます。

河畔から市街を臨むの様子

【河畔から市街を臨む】

・オレゴン州は消費税が0%(隣接のワシントン州は8.7%)

隣接のワシントン州最大の都市シアトル市に比較的近いため(直線で230km)、シアトル市民の中にはわざわざ車でポ市にまで来て、まとまった買い物をする人が多いそうです。

・四季があり過ごしやすい

春の桜、秋の紅葉など季節ごとの美しい変化を見ることができるので、観光シーズンには多くの観光客が訪れるそうです。

・水に恵まれている

マウントフット(3,429m)という万年雪に覆われた山の雪解け水が、コロンビア川経由で流れてきているため、水道の生水がそのまま飲めおいしく水質の良さを実感しました。

・豊かな自然に囲まれている

車で30分も走れば森林地帯が広がり、さらに数時間で山岳地帯にまで達することができるため、容易に休日のアウトドア活動を楽しめる。

・就労の機会が多い他、起業のためのサポートが確立

ポ市及びその周辺に、半導体部品のインテル、スポーツ用具のナイキ、アウトドア用品のコロンビアなど、若者に人気の企業本社が立地しており、そこで働く新感覚かつ高所得の人々が多く住んでいます。また起業へのサポートがしっかりしているので、進取の精神に富んだ若者たちが集まってきていると伺いました。

2)都市計画の基本理念

前述のような理由によって、今後も人口増加が続くと見込まれます。しかし、ポ市の重要な魅力であり、市民の命と生活を支える自然環境を守るため、市街地の周辺開発は厳しく規制せねばなりません。

そこで既存の都市空間を最大限に活用することとし、建築物の新築規制を緩和させた上、平屋住宅の建設を禁止することで、市街地建築物の高層化が図られていました。また人口流入に伴い近年、市内で慢性的な交通渋滞が発生するようになってきており、この対策として公共交通の充実にも力が入れられていました。

高層ビル建設の様子

【高層ビル建設の様子】

激増する人口をまちの活力とすべく、どこへどのように新住民を受け入れるのかを考えた末、環境を守るための周辺地域の規制継続と、既存市街地の土地の高度利用への誘導策という、いわゆるアメとムチの使い分けで新たな都市像の模索が続けられているように見受けられました。以下に見聞きしたまちづくりの主な事例を紹介します。

3)日系人による環境保全

ところで、われわれ日本人にはなじみは薄いのですが、ポ市の都市環境の保全には、今から20年ほど前に没したビル・内藤という日本人が大きな貢献をされていたことを、現地ガイドに紹介していただきました。「古い建物のないまちは、思い出を持たないまちだ」との言葉を遺された内藤氏は日系2世の方で、ポ市を中心に手広く不動産業を営み大きな成功を収められました。

彼は、自ら手にされた伝統的な建築物や土地を市に寄贈され、それを市が管理する形で古くからの都市施設が保全されてきました。また彼の助言により、市内では他にも歴史価値の高い数多くの建築物の保存が進められ、また川沿いの高速道路が市民憩いの緑地空間に変えられています。日系人のお一人が、彼の地で大きな政治的な影響力を発揮されていたことを知りました。

歴史的建築物

【歴史的建築物(裁判所)】

ポ市は樹木や緑地など都市緑化に力を入れていますが、その他にも建物の環境性能評価として、国際的な権威のあるLEEDから高い評価を受ける建物の数が全米一多いといわれています。こうした環境保全や環境性能の高い施設をモデルとすべく、全米はもちろん海外からの視察者が後を絶たないそうです。現在のポ市が都市環境の面で非常に高く注目されている原点に、こうした偉大な日系人の存在があったとの事実を知り、日本人としてこのまちを訪問できたことを大変光栄に感じました。

ビル・内藤氏は、現在の美しい都市景観を守られた郷土の偉人という評価をされており、川べりの公園通りが「ナイトウ・ストリート」として名づけられ、多くの市民でにぎわっていました。

4)公共交通機関

コンパクトシティーの日常的な足となるのは公共交通で、ポ市ではストリートカーと呼ばれる市内を循環する路面電車、市内と郊外を結ぶMAXというローカル電車、そしてバスの3つをうまく組み合わせて充実が図られていました。また、まちの1街区は基本的に61mで設計されており、アメリカ一般の1街区100mと比べてコンパクトなため、まち中を歩く人が多く見かけられました。

さらに移動手段としての自転車利用も多いようで、通勤・通学者の10人に1人が自転車という説明にうなずけるほど、道路も自転車利用者のために設計されていました。また自転車利用者を促進する目的で、あちらこちらにレンタル自転車置き場が用意されていた他、公共交通への自転車持ち込みに対する配慮も行われています。こうした都市施設が整備されている一方で、市民の意識に関しても健康志向が強いようで、早朝の川べりの公園でランニングをする人々を数多く見かけました。

レンタサイクルの様子

【レンタサイクル置場の様子】

ポ市市街地では「20分のまち」を合言葉に、徒歩20分の生活圏内で暮らせるまちづくりが進められていました。5年サイクルで大きな都市施設を整備するというローテーションで必要な建設事業を進め、2035年には中心市街地から車を締め出すことが最終目標とされていました。この目標実現のために、まずはモデル街区での具体的なまちづくりの実践を進め、徐々に住民理解を得ながらモデル地区の拡大を図る方針とお聞きしました。

都市生活上の単なる利便性や快適性を目指すのではなく、公共交通の充実と自転車や徒歩の空間確保を通じて、そのまちで暮らすこと自体が健やか幸せにつながるとの基本コンセプトを知り、まるで本市のケンサチまちづくりのお手本をそこに見たように感じました。

2.姉妹都市での市民交流 カリフォルニア州ハンチントンビーチ市

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