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更新日:2015年6月15日

健幸都市への第一歩(2015年5月)

安城市は、平成17年度からスタートしました10カ年の長期計画(第7次総合計画)の目指す都市像を「市民とともに育む環境首都・安城」としました。この間、市の環境政策面で力を入れるのはもちろん、多くの市民の皆さんや各種団体・事業所にも多大なご協力をいただきました。身近な生活環境の美化活動、ごみ減量、植樹による緑化の他、省エネやCO2発生抑制など、市を挙げての総合的な取り組みが高く評価され、これまでに「日本の環境首都コンテスト」で全国総合3位に評価されたことがあります。

残念ながら未だ環境首都の称号はいただけておりませんが、市内環境の向上はもちろん、市民の環境意識を高めることができ大きな効果があったものと評価しております。この長期計画の期間も今年1年となり、そろそろ次の長期計画の策定と目指す都市像の具体化を進めねばならなくなりました。

そんな時、統一地方選挙の年を迎えることとなり、私は2月に実施された市長選挙で、「これからの本市の目指す都市像は、健やか幸せを意味いたします『健幸都市』にしてゆきたい」と訴えました。その方向性には多くの市民の皆さん方が共鳴して下さり、よい形で4回目の当選を果たせたものと大変嬉しく思うと同時に、大きな責任も痛感いたしております。

私が本市の目指す都市像として「健幸都市」を標榜した大きな理由に、最近よく見聞きされるようになってきた「2025年問題」の存在があります。2025年といえば、そう遠くない将来のことです。10年後の2025年には、現在60代後半の「団塊の世代」の皆さんは75歳以上の後期高齢者になられますが、一般的に後期高齢者になりますと医療や福祉のお世話になる頻度が非常に高くなると言われています。いよいよ本市も超高齢社会を迎えることになる訳ですが、その時、この地域の医療機関や福祉施設が健全に機能してゆけるのかどうかが、大変心配され始めてきていました。

和泉保育園園児が老人ホームを訪問しました

【和泉保育園の園児が老人ホームを訪問しました】

そんな訳で、この地域の医療と福祉を守り2025年問題をうまく回避できますように、地元の医療関係機関の他、福祉施設やボランティア団体の皆さん方とも協力して、県のモデル事業として「地域包括ケアシステム」構築を進めています。この事業をごく簡単に申し上げますと、さまざまな立場や機関の皆さんが協力し合い、高齢者の皆さんが住み慣れたわが家で安心して暮らせる環境づくりを実現してゆこうとするものです。もちろんこうした理想環境を、一朝一夕に実現できるとは思いませんが、試行錯誤を繰り返しながら10年後には実現させられるように、息の長い取り組みを続けてまいります。

また今後、超高齢社会を迎えるものの、高齢者の皆さん始め全ての市民の皆さんが健康であれば社会的に深刻な問題は生じません。日本では5年後に、東京オリンピックが開催されることとなっています。このオリンピックが近づくにつれて、本市でもスポーツや健康づくりのブームが起きるものと想像します。そんな新たな社会的なブームをうまく活かして、全ての市民の皆さんがご自分の健康により高い関心をお持ちになるきっかけにしたいと考えており、今後市内のスポーツや健康づくり関連施設の整備・改修を急いでまいります。

基本的な考え方は以上ですが、市民の皆さんにこうした市の置かれている状況と、私たちの思いをどう伝えて行くかも大切です。そこで本年5月8日(金曜日)に開催された安城市発展祭に記念講演会を開催し、講師に医師として日本国内はもちろん海外でもご活躍の諏訪中央病院名誉院長・鎌田實先生に、「幸せで健康で長生きの秘訣~命・生きがい・絆が大切~」と題してご講演いただきました。新聞・テレビ・雑誌などを通じて鎌田先生をご存知の方も多かったため、1200人ホールを埋め尽くすほどの聴衆の皆さんのご参加がありました。お話の内容は、概略以下の通りでした。

「今から40年前、私は長野県諏訪地方(茅野市)にある諏訪中央病院に赴任しました。当時、長野県民の平均寿命は短く、諏訪地方の人々も短命でした。病院は赤字経営で診療機器も買えないため、患者数の減少が続きますます経営が悪化するという悪循環に置かれていました。患者さんがあまり来てくれず時間の余裕があったため、地域の人たち、特にご婦人の皆さんとともに健康長寿の方策を話し合い、それを実践することとしました。

長野県は海から遠いため、食材が豊富ではありません。また農家が多く、人々は重労働に従事するため、かつて平均して1食4杯ものご飯を食べていました。そのおかずとなったのは味つけが濃く塩分の多い野沢菜漬けで、大量のご飯とともにこうした漬物を多く食べるために塩分摂取過多となり、比較的若くして脳卒中で亡くなったり病床に伏す人が多くおられました。

一家の大黒柱が寝たきりになってしまいますと、その奥さんたちは長期にわたる「介護地獄」に陥ることとなります。女性たちはその恐怖から逃れたい一心で、私の健康長寿への取り組みに大変熱心に協力してくれました。短命の主因は塩分摂取過多ですので減塩運動を展開しようと試みたのですが、大食漢の男性たちは薄味で食の進まなくなることを嫌がるため夫婦喧嘩が増えてしまい、その結果塩分の多い元の食生活に戻ってしまうということが繰り返されました。

発展祭講演会で鎌田實先生にご講演いただきました

【発展祭講演会で鎌田實先生にご講演いただきました】

しかし、あるご婦人が「具沢山みそ汁」を考案されました。みそ汁は汁に多くの塩分が含まれているため、その汁を少なめにすることにより塩分摂取を抑えることができ、さらに具として野菜類を沢山入れることにより、野菜の摂取量を飛躍的に増やすことができるようになりました。現在、長野県民は平均寿命日本一なのですが、同時に野菜の摂取量も日本一になっています。長野は山に囲まれており、食材の種類は限られていますが、それらを工夫してうまく活用することで健康につなげることができました。

例えば、日本の死亡数の多い病気は、1位 癌、2位 心臓病、3位 肺炎の順ですが、癌と肺炎の原因はともに体の免疫力低下が原因とされています。よって体の免疫力を高めることが大切なのですが、そのためには腸の働きを良くすることが必要になります。その腸の作用を高めてくれるのが「繊維質」と「発酵食品」で、繊維質は野菜、海藻、きのこに多く含まれています。

このうち海藻は長野県にはありませんが、諏訪地方でつくられている「寒天」はそもそも海藻を粉末にしたものであることに気づき、棒寒天を使いおやつやデザートづくりに挑戦しました。最初に作った「トマト寒天」は、繊維量と栄養価に富むものであったものの、とてもまずくて食べられませんでした。ところが地元の女性たちで、さまざまな工夫が繰り返されたところ次第においしくなり、今ではひと手間かけたおやつとなり親子の絆づくりにもつながっています。

このように身の回りにあるものに手を加えて、やれることから始めることが大切です。健康づくりにも失敗はつきもので、無理をしないことが大切です。「行動変異」ということばがありますが、自分の生活や行動を変えるためには、まず正しい情報を知ることが大切です。そして一人一人が、ほんの少しずつでも工夫し考え方を変えてゆくことで、地域全体の健康実現つながることになります。

市民会館サルビアホールは満席となりました!

【市民会館サルビアホールは満席となりました】

身の回りの事象に感動し、その感動を共有することも大切です。食べ物を食べて「おいしい」と感じること、さらに食事を作って下さった方に感謝の意を伝えること。また孫と一緒に美しい夕焼けを見て、幼い孫に「きれいだね」と語りかける。そんなささやかな日常の感動と血の通った会話により、うつ病の薬に含まれる脳内ホルモン(セロトニン)が分泌され、幸福感に包まれることができます。

また長野県は高齢者の就業率日本一とも言われています。農業者の多い県であり、年老いてもなお小さな面積の田畑を耕し、それを生きがいとしている方が多くおられます。こうした日々の「生きがい」をいかに見出すかも健康長寿の秘訣です。もちろん生きがいは農業に限られたものではなく、福祉ボランティア、孫のお世話など、ささやかな社会貢献が精神的な充実感となり、心身の健康につながるものと考えます。実際、アメリカのカーネギー・メロン大学の研究で、自己中心的な高齢者と、ボランティアに精を出す高齢者の比較をしたところ、ボランティア精神を発揮する人たちの高血圧発症率は40%も低かったという結果があります。人は心と心を通わすことができ、社会貢献を通じて自分自身が健康になりつつ、他人をも健康にできる能力を有していると言えます。

私たちの体内には、自分の意志で働かせることのできない「交感神経」と「副交感神経」の2種類の神経があります。交感神経は運動したり興奮したり頑張ろうとする時に働く神経ですが、副交感神経は食事中や睡眠時など体がゆったりとしている時に働く神経です。現代社会は競争原理を基本とする資本主義社会であり、とかく交感神経が働くことが多いのですが、時々は休息し副交感神経を働かせる時間を持つことが重要です。緩やかな音楽を聴く、38℃くらいのぬるいお風呂につかる、ティータイムを持つなどの時間を確保することが長生きにつながります。

また安城市が進めようとしている「歩きたくなるまちづくり」も重要で、1日15分の歩行を週3回続けることで、認知症発生が40%減少すると言われています。笑ったり希望を持ったりすることのできる穏やかな環境を創り出すことで、ナチュラルキラー細胞が活性化し癌やウィルスに対する抵抗力が高まります。このようにほんの少し行動や生活を変えるだけで、周囲の雰囲気まで変わり人は健康を保てるようになります。

温かなひと声をかけ合うだけで、人は生気を取り戻し元気になることができます。よって、市長さんの提唱される「健幸都市・安城」はそう難しいものではなく、さまざまな意味で環境に恵まれた安城市なら必ず実現できる都市像だと思います。」

講演後に鎌田先生と記念撮影!

【講演後に鎌田先生と記念撮影です!】

鎌田先生は、社会奉仕の心が健康に重要な役割を果たすことを強調され、その中に「1%の力を人のために」というご助言がありました。このくらいの心配りなら、日常的に私たちにも無理なく実行できそうな気がします。鎌田先生ご自身は、原発事故の起きたチェルノブイリ、東日本大震災の被災地、IS国の支配の及ぶイスラム国家など、危険の多い地域にまでお出かけになり医療を通じた命がけの奉仕活動を実践しておられます。

ご多用の中、遠路安城市にまでお越し下さった鎌田先生に感謝申し上げますとともに、先生に激励をいただきました「健幸都市の実現」を目指し、市を挙げて健やか幸せまちづくりを進めることを心に誓いました。貴重なご講演、本当にありがとうございました。

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