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更新日:2014年8月19日

健幸都市を目指して(2014年7月)

「健幸」ということば、まだ見聞きしたことのない方が多いのではないでしょうか。健幸の「健」は「すこやか」、健幸の「幸」は「しあわせ」を表し、多くの方々が健康で幸せに暮らすことを願う造語です。

社会の高齢化は、安城市でも確実に進行して来ています。本市の高齢化率は全国平均の25%台には至っていませんが、それでもすでに18%を越え年々上昇を続けているのが現実です。市民の皆さんが幸せに暮らすための要件、それはいろいろ挙げられるのでしょうが、根本をなす要件はまず個々の皆さんが健康であることではないかと思われます。

健やか幸せな社会、これこそが21世紀の都市に求められる最重要のテーマではないかと考える市町村長は増えてきており、「Smart Wellness City首長研究会」が結成されており、安城市長の私も「スマート・ウェルネス・シティ」、つまり健幸都市を本市で実現するために、今年からこの研究会に参加することとしました。

ここに私たちにとって、嫌なデーターが示されています。

東京・大阪・愛知における自家用車の利用と糖尿病患者数

【為本浩至氏(自治医科大学)の研究データ

肥満と糖尿病,8:923,2009より引用】

東京・大阪・愛知の3大都市圏において、日常的な交通手段としてよく使われているのが「自家用車」ですが、その割合は愛知が突出していることがよく分かります。東京・大阪に暮らす方々は、鉄道を中心とした公共交通の活用割合が多く、駅までやホーム間の移動などにより、1日当たりの歩行歩数がかなり多いと言われています。

逆に愛知の方は、目的地のすぐ近くまで車で乗り付けるため、東京・大阪の方々に比較すると歩行歩数は少なく、そのため糖尿病の発症率(10万人当たり)は2つの都市圏と比較して著しく高いということが、もう1つのグラフからよくお分かりかと思います。

また、公共交通を利用すれば渋滞緩和やCO2発生抑制など、都市環境にとっても良好な結果が得られますし、お気の毒な交通事故も減らせることができるなど、単に健康によいということだけではなくさまざまな面での副次的な効果が挙げられます。

一方、自動車産業を基幹産業とする愛知では、これまでの長い歴史の中で、自動車での移動を基本とした都市計画によるインフラや交通体系が考えられてきたのではないでしょうか。そして現実に、市内の道路環境はひと頃に比べればかなり良くなってきていると感じられますが、鉄道に関しては近年では本市内でも「南桜井駅」が新たに開業したものの、鉄道網そのものは昔となんら変わりない状況に置かれたままです。

自動車生産が基幹産業の地域なのだから仕方ないのでしょうか…?

私の娘はドイツ人男性と結婚し、現在、自動車生産大国とも言えるドイツに暮らしています。デュッセルドルフというオランダ国境に近い彼らが暮らすこの都市は、ノルトライン=ヴェストファーレン州の州都で人口は60万人ほど。日本のこの規模の都市では考えにくいのですが、デュッセルドルフ市内にはバス路線があるのはもちろんのこと、路面電車もきめ細かく走り、それに加えて地下鉄もかなり整備されつつあります。そのため市街地で生活する娘夫婦は自家用車を保有しておらず、これまで2度このまちの娘たちを訪問した私たち夫婦は、市内での移動はこれら公共機関を組み合わせるしかなく、1日当たりかなりの歩行を強いられました。公共交通主体の生活は、1日当たりの歩行歩数が増えるということを実感させられます。

このように日本の地方拠点都市と比較すれば、デュッセルドルフの都市基盤としての公共交通機関は、かなり高い水準で整備されていると感じられます。しかしその一方、市街地の道路脇には自動車が整然と駐車されており、ドイツの地方都市を見る限りにおいては、公共交通網の充実とよき車社会というものは健全な形で共存できるのではないかと思えてなりません。

とは言うものの、私の市長任期も残すところ半年ほどになってしまいました。残された任期中に鉄道網などの大きなインフラ整備は不可能ですが、せめて市内のバス路線は充実させたいと考え、10月からのあんくるバスのダイヤ改正に合わせて、路線の拡充を実現できますようにすでに予算措置をしてあります。どうかより多くの皆さんにバスをご利用いただき、公共交通を利用するライフスタイルもご一考いただければと思います。

公共交通と車・人が共存するまち(ドイツ・デュッセルドルフ市)

【公共交通と車・人が共存するまち(ドイツ・デュッセルドルフ市)】

また多くの皆さんに外出を促す意味で、歩いてみたくなる魅力的な市街地の空間を創りだすことも重要ではないかと考えます。安城市内ではJR安城駅南のいわゆる中心市街地と言われるエリアで、近年ウォールペイントを中心とした「新美南吉まちづくり」を進めてきました。童話作家として子どもたちを中心に知られている新美南吉の生誕百年を機に、南吉自身や彼の童話の世界をまち中に描いた壁画です。

すでにかなりの数の壁画が描きあげられていますが、今後も徐々に増やしてゆくとともに、区画整理事業により新しく作られる道路空間を活用して、立体的な南吉オブジェを設置してゆくことも考えています。オブジェ第1号として、更生病院跡地の交差点付近に昨年建設しましたモニュメントの隣へ、彼のブロンズ像が誕生日の7月30日に設置されることになっています。

さらに更生病院跡地への図書情報館を中心とする拠点施設は、すでにPFI事業として建設に着手しており、現在は基本設計を進めている段階です。この施設完成後は、安城の中心市街地は多くの皆さんで賑わうものと期待しています。

魅力のあるまちに人は集まる(ドイツ・ケルン市)

【魅力のあるまちに人は集まる(ドイツ・ケルン市)】

市域全域で公共施設を結ぶ充実したバス路線、歩いてみたくなるような中心市街地の魅力アップ策、さらに3年後の完成を目指す更生病院跡地への拠点施設建設。これら施策を総合的にうまく組み合わせる相乗効果により、多くの皆さんに市街地へ楽しく足を運んでいただくことで、安城市版の「健幸都市(スマート・ウェルネス・シティ)」を実現させることを目標に置いています。

7月14・15日と東京で開催された「Smart Wellness City首長研究会」に出席し、参加各市町村のさまざまな取り組み事例を勉強させていただきましたが、上記のような安城市の進めているスマート・ウェルネスの構想もなかなかのものだと、より自信を深めることができました。都市の総合政策をうまく調和させ、足を運びたくなる街並み形成と併せて、市民の健康生活の実現を図りたいと考えています。

全国の都市のモデルとなるような安城市版「健幸社会づくり」を進めてまいります。

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