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更新日:2015年1月16日

未来へつなぐ精神(2014年12月)

あまり目立たなかったニュースではありましたが、平成26年10月末、日本人の国民性を探るため、公的研究所と大学などが5年ごとに行っている「日本人の国民性調査」が公表され、この中で「たいていの人は他人の役に立とうとしている」と答えた人の比率が、過去最高になったという記事がありました。

この国民性調査の歴史は、すでに60年を越えています。最近では平成25年に調査が行われており、26年秋にその分析結果が公表されました。その設問には、昭和53年から日本人の自己評価のために、「自分のことだけに気を配っている」国民か、または「他人の役に立とうとしている」国民か、という問いが加えられています。

今回の調査ではこの質問に対して、「他人の役に立とうとしている」との回答が45%、「自分のことだけに気を配っている」との回答が42%という結果となり、初めて日本人の自己評価として、「他人思い」が「自己中心」を上回った点が特徴と報道されていました。

5年に1度の調査ですので、この5年間ほどの日本人の意識を変えるような出来事を振り返りますと、やはり「東日本大震災」が挙げられるでしょう。大きな地震と津波が東日本沿岸を襲い、海岸線のまちがなくなり、福島原発の爆発が起き、全国民が日本の未来を案じたあの震災は、今も私たちの記憶として鮮明に残っています。

東日本大震災被災地でのボランティア活動の様子

【東日本大震災被災地でのボランティア活動の様子】

東日本大震災では、被災地でのボランティア活動に多くの国民が参加し、激励の品々が届けられるなど、日本人同士が助け合う様子が報道によって全国へ伝えられました。これらによって私たち日本人は、忘れかけていた伝統的な「互助の精神」の大切さを思い起こしたのではないかと思われます。

近代文明以前の先人の皆さんたちは、こうした自然の猛威からわが身や家族を守るために「互助の精神」を日常的に意識され、お互いを助け合いつつ穏やかな生活を送って来られたのではないでしょうか。その一方で、スイッチ一つで快適な生活空間が作りだされ、豊かさと便利さを手に入れた現代の私たちは、自分一人の力でこの世の中を生きて行けるような気分になってしまっていたようです。

しかし、それはあくまでも錯覚であり、大きな災害に遭遇したり、大病を患ってしまったような時には、己の力の限界を思い知らされ、世の中は「互助の精神」によって支えられているということを痛感させられることになります。私たち日本人は、東日本大震災により多くのものを失ったという喪失感に打ちのめされてしまっていましたが、気がつけば一方で、こうした明るい未来につながって行く温かな意識の変化が生まれていたことに気づかされます。

私たちは、もはや快適便利な暮らしを手放すことはできないでしょうが、災害の多発する時代にあって、社会生活における最も大切な大本は、「互助の精神」であるということだけは忘れてはならないと思います。

さて平成27年は、明治用水の計画を立案された都築弥厚の生誕250年に当たっています。江戸時代後期の明和2年(1765年)、都築弥厚は現在の和泉町にあった裕福な造り酒屋に生まれました。当時、この地域は「安城が原」と言われる台地状の土地であり、水に恵まれない不毛の地とみなされていました。経済的に恵まれた環境で育った都築弥厚は、多くの人々との交流を重ねたようですが、その中には当時日本地図の作成に取り組んでいた伊能忠敬との出会いもあったようです。

都築弥厚は、伊能忠敬の測量や地図づくりの話に触発されたのでしょうか、「矢作川の水を上流域から安城が原に流せば、この地は豊かな穀倉地帯になるのではないか」と考えるようになり、やがて身代を息子に譲って明治用水の計画づくりに専念することとなりました。

明治用水の計画を立案された都築弥厚

【明治用水の計画を立案された都築弥厚】

江戸時代に生きた都築弥厚の生前中に、明治用水の壮大な計画は社会的な理解を得られませんでした。しかし、彼の遺志を継いだ後進の方々が奔走され、やがて明治の時代に入ると、この計画は国から認められ、明治用水が開削されることとなりました。この開削工事においては、当時の先人の皆さん方の「互助の精神」が大いに発揮されたことでしょう。

また矢作川の水が明治用水に流されてから、はや130年以上にもなりますが、この間も明治用水の水は多くの方々のご尽力により、かつての安城が原を潤し続け豊かな実りを確実なものにしてくれています。ここでも「互助の精神」は、連綿と受け継がれてきたと言えるでしょう。

今日、明治用水の水は農業用のみならず、工業用にも活用されており、今や農業施設というよりも都市施設の役割も果たしているように思われます。安城市はこの都築弥厚生誕250年に当たり、明治用水やJAと協力してさまざまな記念行事を実施し、地域社会発展の礎(いしずえ)を築いてくださった郷土の偉人のご恩に感謝する1年としたいと考えています。多くの皆さんにご参加いただけることを願っています。

都築弥厚の銅像イメージ画像

【都築弥厚の銅像イメージ画像】

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