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更新日:2013年6月20日

リニア中央新幹線への期待と課題(2013年4月)

4月16日、安城市内で東海道新幹線三河安城駅開業の25周年記念シンポジウムを開催し、「リニア中央新幹線がもたらす地域のポテンシャル」というテーマを取り上げました。このシンポジウムは、三河安城駅開業25周年を記念した催しで、平成39年開通予定の東京・名古屋間のリニア中央新幹線による効果に期待し、未来に向けた「まちづくり」として今から取り組むべき課題について考える場として企画したものです。

当日は、日本総合研究所の藻谷浩介さまの基調講演をはじめ、パネリストとして愛知県知事・大村秀章さま、三菱UFJリサーチ&コンサルティング・加藤義人さま、そして安城市長・神谷学、さらにコーディネーターとして中日新聞論説委員・飯尾歩さまにもご参加をいただくことができました。

私もパネリストとしてディスカッションに参加しました

【私もパネリストとしてディスカッションに参加しました】

さて3月中に、国土交通省が地価の公示をされました。この地域では安城市内の住宅地価の上昇が顕著とされ、西三河は全国的にも稀な地価上昇の地域といわれています。また今回のシンポジウムのテーマとなった、リニア中央新幹線開通をにらんだこの地域のグランドデザインは、早急に検討すべき重要な課題となっています。

本市ではこうした社会の動向をにらんで、本年10月に自治体シンクタンクの開設を目指しており、このシンポジウムはそのキックオフという位置づけを持っておりました。以下に、シンポジウムで述べた私の見解を記しました。14年先のことですので、確実性の高い話とはいえませんが、参考までにお読みください。

1、リニア開通への期待と課題

(1)高速交通による地域変化

東京から名古屋まで約40分、そこから新幹線に乗り換えて約15分。東京から三河安城駅付近までの時間は1時間ほどとなり、これは東京駅からの電車移動で考えると八王子市、鎌倉市の位置となる計算です。よって、単純な時間距離でいえば14年後には、三河安城駅付近までは首都圏域になることを意味します。

これまでは常に名古屋を意識しつつ、隣接市への往来を軸にした交通体系や移動手段を考えて来ていましたが、それに加えて今後は東京を身近に意識した交通体系や都市形態を考える必要に迫られることになります。私たちの生活圏という概念が、劇的に変わるものと思われます。

よって、まだ十分な想像力を働かしきれませんが、この地域の経済環境、生活環境なども、劇的に変化をすることと思われます。それらによる期待も大きく膨らむ一方、冷静にマイナスの影響も考えておく必要があります。

安城市内を走る東海道新幹線(新幹線の開通も安城市に劇的な変化をもたらしました)

【安城市内を走る東海道新幹線

(新幹線の開通も交通環境に大きな変化をもたらし、安城市の都市化はさらに進みました)】

交通環境の激変ということに関しては、長野五輪開幕直前の平成9年に開業した長野新幹線による社会現象が一例として挙げられます。私が八ヶ岳へ登山をする時、山麓にある山小屋の経営者からよくお聞きする地元・長野県佐久地方での社会変化を、次のようにまとめてみました。

【長野新幹線開業による変化】

  • 長野新幹線・佐久平駅開業後、東京の巨大資本が佐久平駅周辺にブランドショップ等を進出させ賑わうが、地域の商店街の客足は一気に減少した。
  • 長野県内の高校を卒業した若者らは、新幹線による首都圏の大学への自宅からの通学が可能となり、特に女子を中心に新幹線通学が目立つ。
  • 新幹線が開業した長野駅周辺では、首都圏からの来訪者の日帰り傾向が顕著となり、ホテルなどの宿泊施設に空室が激増した。

以上が、自分で実際に長野県内にて見聞きした事例です。

(2)名古屋圏の環境変化

名古屋圏でも、産業に関しては東京に本社を持つ巨大資本との競合の可能性が、また大学などの学術機関でも首都圏の学術機関との競合の可能性が、それぞれ高まると考えられます。さらに東京に本社機能を持つ企業の支社・支店が名古屋圏から撤退することも考えられ、この地域での宿泊の必要性も小さくなる可能性があります。お金も人材も、直接首都圏に向かおうとする大きな求心力が発生することは、ある程度覚悟をしておく必要があるでしょう。

それを踏まえた上で、全ての分野で首都圏に吸収されてしまうことのないように、これからの14年間でこの地域独自の特徴や魅力をいかに育てて、地域としてのブランド力を身につけ、首都圏に向けての強力な情報発信ができるかどうかが問われることになるでしょう。

しかもそれは、できるだけ大きな魅力と、強い情報発信力を併せ持たなければ、首都圏の持つ大きな求心力に対抗することはできないと思います。

2、この地域が進めるべきまちづくり

(1)当地域の求心力の源

さまざまな分野で、首都圏の強力な求心力が名古屋圏に及んでくるのでしょうが、特徴的な分野・得意分野、また独自の魅力に関しては、逆の求心力が働くような環境づくりと情報発信を心がけねばなりません。

そのポイントとなるのは、この地域の自動車産業を中心とした「ものづくり」であり、その礎を築いた三河地方の歴史や風土を魅力とした「観光」と考えます。この2つの切り口で、全国にどんな情報発信をできるかが大切なのではないかと私は考えます。

(2)ものづくり

私たちの地域は、自動車関連企業の多い地域ではありますが、自動車のまちとして象徴的な都市は何といってもトヨタ自動車本社のある「豊田市」であり、その認知度は高いものの、安城市のような周辺都市の名を挙げたとしても、ごく一般の国民はその具体的な都市イメージを思い浮かべることは困難なのが現実ではないかと考えられます。

また国民の一般認識からすれば、自動車関連企業名や「三河安城」の駅名は知っているが、安城市という都市名は知らないという比率は、残念ながらかなり高いと想像されます。この地域の企業ブランドと都市ブランドの落差をいかに縮めて、都市としての全国的な訴求力を持てるかが今後問われることでしょう。

現在のこのような状況が続くということは、ある意味、地域の主要企業にとっても、関係各市にとっても不幸なことと言わざるを得ません。

「魅力的なあの企業の立地する、そのまちに住みたい」と言われるように、企業と都市双方のブランド力が高まり、官と民による訴求力の相乗効果が生まれることで、首都圏からこの地域への強力な求心力が働くものと考えます。

(3)観光

リニアという乗り物は、区間のほとんどが大深度を通過する乗り物で、車窓の風景を楽しめるわけではありません。超スピードで暗闇を突き抜ける乗り物では、真の旅の楽しみは感じられないと思われます。

よって、ビジネスマンや学生など迅速な移動を必要とする人たち以外には、一度は乗ってみたい乗り物でしょうが、行きはリニアの移動であっても、帰りは新幹線もしくは観光バスで景色を愛でながら旅を楽しみたいという人が多いのではないかと想像します。

よって、太平洋と富士山が臨める風光明媚な東海道を利用しようとする一般の旅行者に、この地域で途中下車をしてもらうためには、観光資源の整備とPRが必要となると考えられます。また、そこでは日本人とともに外国からの来訪者にも分かりやすいテーマ性やストーリー展開、イメージ戦略を立てられるかどうかも問われることになるのではないでしょうか。

3、まとめ

ものづくりに関しても、また観光に関しても、各市が単独でアピールしたところで、やはり首都圏の情報発信力や魅力に比べれば見劣りがすると思われます。まちとしての魅力づくりは、各都市それぞれで創意工夫をすべきかと考えますが、情報発信におけるテーマやストーリーなどのイメージ戦略は、愛知県と複数の都市が広域的に連携しあう形がよいのではないかと考えます。

例えば安城市と岡崎市・豊田市が連携し、愛知県の支援をいただく「愛知開運ロード・徳川家康の道」という観光コースは、近年台湾からの観光客に認知されるようになりつつあり、安城市内にも多くの観光客が来訪されるようになってきています。

近年外国人観光客が多く訪れる丈山苑(愛知開運ロードのコースにもなっています)

【近年、外国人観光客が多く訪れる丈山苑(愛知開運ロードのコースにも含まれています)】

西三河各市と愛知県との連携という形で、自治体同士が連携・協力をし合う体制づくりがいっそう重要になるものと考えます。

安城市長 神谷 学

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