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ホーム > 市長のページ > 今月のメッセージ > 今月のメッセージ 2013年 > 海外行政視察報告「米国東部における図書館の現状」

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更新日:2013年6月20日

海外行政視察報告「米国東部における図書館の現状」

平成24年1月22日(日曜日)から29日(日曜日)までの8日間、アメリカ東部で歴史のある主要3都市(ニューヨーク市、フィラデルフィア市、ピッツバーグ市)を視察してまいりました。主な目的は、安城更生病院跡地に計画している新図書館の目指す方向性の確認です。電子書籍が普及しているといわれるアメリカ東部の主要都市で未来の図書館の理想的な形態を探り、以下にまとめました。

大変長い報告となりましたので、お時間のない方は、今後の安城市の課題と私の所感を「むすび」にまとめましたので、そちらからお読みいただければと思います。

アメリカ東部地域の選定理由

電子書籍が日本でも話題になりつつあります。書籍のIT化に図書館はどう対応するのかを、日本より一足先に電子書籍のブームを迎えたといわれるアメリカの図書館事情に学びたく、アメリカ合衆国を選定しました。また、80年前の大恐慌時代のニューディール政策で、芸術性の高い公共建築物が建てられたとされています。どのような都市施設が建てられたのかを知るため、アメリカ国内でも歴史のある東海岸の都市を選択しました。

アメリカの公共図書館概要

ニューヨーク市内には一つのシステムで統合された公共図書館が総数で91館あり、別システムのブルックリン区とクイーンズ区を合わせると実に210館を超えますが、このうち本館機能を持つ2館と2つの地域分館に立ち寄りました。また、フィラデルフィア市内ではフリーライブラリーと呼ばれる公共図書館本館と、市内のペンシルバニア大学図書館とテンプル大学の図書館別館に位置づけられるTECH Centerを視察させていただきました。

人口817万人のニューヨーク市の公共図書館は、4つの中核的な研究図書館と210もの地域分館からなり、人口3.8万人に1館の配置となります。また、人口150万人のフィラデルフィア市は、本館・分館合わせて55館が配置され、人口2.7万人に1館の配置となります。ちなみに、インターネットで調べた名古屋市は、人口230万人に対して市立図書館は21館なので、名古屋市は人口11万人に1館となり、日米の大都市の単純比較ではアメリカの方がきめ細かな配置がなされているのではと感じます。

これは、アメリカの公共図書館が、学校図書館の役目も果たしているためであると思われました。学童らが放課後あるいは休日に図書館に来館し勉強するため、図書館側は地元の学校でどんなことを勉強しているのかを常に把握し、それに合致した教材を置くように努めていました。

ニューヨーク公共図書館本館外観

ニューヨーク公共図書館内

この他、各都市には数多くの大学があり、各大学にも独自の立派な図書館があります。私たちが訪問したフィラデルフィア市内の名門大学図書館は規模が大きく、多くの貴重な蔵書がありました。しかし、歴史のある公立図書館には、大学にはない極めて貴重な蔵書も多く、大学生や教授らが研究のため通って来ているとお聞きしました。

また、いずれの図書館も紙の書籍を大量に所蔵するだけでなく、一般向けのパソコン端末(以下「PC」と略)や情報の提供などIT環境を整え始めており、紙書籍とITによる情報提供ができるハイブリッド型の情報拠点となりつつありました。特に、日本ではまだあまり進んでいないIT化に関しては、いずれの図書館でも館内のWi-Fi環境が整っており、来館者持ち込みのPCでもインターネットを自由に使えます。この他、ニューヨーク市の図書館本館には備え付けのPC端末50台を配置した部屋がある他、市内91館の全図書館の合計で約1000台のPCが配置されているとお聞きしました。

フィラデルフィア市の図書館の場合は本館に90台、分館も合わせた合計で約900台ものPC端末があるとお聞きし、ニューヨークとの人口比ではかなりIT環境が充実していると感じましたが、今後のIT書籍の需要増と多様なサービスの提供を考え、図書館の本館傍へITのみに特化した別館建設を進めると伺い驚きました。歴史のある本館ですが、それだけに元来はIT導入の配慮がなく、スペース的な問題や今後の拡張を考えると専門の別施設を建てた方がよいとの判断をしたものと思われました。新しいIT図書館には200台のPCが設置される他、電子書籍の端末やラップトップPCの貸し出しを行う予定とお聞きました。

アメリカの公共図書館にPCの台数が多い理由の1つは、主要都市に仕事を求める低所得層の失業者らが多く住んでおり、彼らの就業のための履歴書作成に使われているという特殊な事情もあります。アメリカ都市部の企業のほとんどは、求職者が履歴書を所持して訪問する採用方式をとっておらず、PCで作成した履歴書をメールで送ることが必須条件とされていました。そのため自宅にPCのない低所得層の人たちには図書館が唯一の就職への窓口であり、PC端末の操作方法、さらにはアピール効果の高い履歴書の書き方などが図書館スタッフにより教えられていました。

また、同様に、低所得層の家庭の子どもや学生たちも、家庭にPCや十分な書籍がないため学校帰りに図書館に立ち寄り、PCや本に触れてさまざまな情報や知識を得ようとしていました。こうした利用者も多いため、図書館本館は午後9時まで開館とされていました。各分館は地域住民のニーズに応じた開館日時で対応しているそうです。日本には見られない図書館内の光景であり、社会背景により図書館の利用形態もさまざまであると感じました。

図書館IT化の特徴

上記のように公共の市民向け図書館では、昔からの紙書籍とIT化の充実によって、住民らの一層の図書館利用が進むような環境づくりを目指そうとしていると実感しました。また、図書館を利用する対象者別に、次のような配慮や工夫が見られました。

  • ニューヨーク公共図書館の事例

ニューヨーク市内には新たに起業を目指す人たち向けにビジネス情報を中心に提供する専門図書館(科学産業ビジネス図書館SIBL)があり、市場調査等の高価なデータを無償で閲覧できる環境であります。また、税の還付方法など経営上必要な法律等の講習会が開催されるなど、特に零細の事業者向けのサービスが充実していると感じました。

マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏やアップルの創業者故スティーブ・ジョブズ氏などに代表されるように、一般企業に就職して生きるよりもアメリカンドリームを夢見て自ら起業する人生を選択する人が多く、また、彼らをサポートする社会的な環境も整えられていることに気付きました。

各都市でこうした起業家を育成することで、起業家の卵たちがその街に暮らすようになり、彼らが起業し、やがてその企業が成長してゆけば、さまざまな税収入が都市側に納められるという長期的な戦略があるように感じられました。これも日本ではあまり耳にしたことがない、図書館を基軸としたアメリカ流の都市経営戦略といえるでしょう。

また、ニューヨーク市では、公共図書館と特定の大学図書館とがITによって相互アクセス可能になっており、それぞれの大学図書館から公共図書館の電子データが閲覧できるとのことでした。アメリカでは日本以上に学校と図書館が、極めて密接な関係で結ばれていると感じました。

ニューヨーク市の主要図書館の1つブルックリン公共図書館では、PCを使えない子どもや大人向けの講座の講師として、高校生を起用していました。こうした高校生のボランティア活動の実績は、大学進学時の評価に加算されるため、高い技能や知識を持つ高校生が、進んで講師を希望するとのことです。この他にも高校生たちや教員OBの方々で、14歳までの子どもたちの夏休みの宿題を図書館でアドバイスしているという話も聞きました。このように、学生らが図書館を利用するのみでなく、その運営に参加をする機会がいろいろ設けられていることにも感心しました。

ブルックリン公共図書館ティーンズコーナー(右)と児童コーナー(左)

  • フィラデルフィア公共図書館の事例

フィラデルフィアの公共図書館では、アメリカ国内で急速に流行し始めている電子書籍の端末(e-bookと呼ばれていました)の使用方法や機種について、館内にIT専門員を置き講座やアドバイスがされていました。日本の場合なら、こうした類のサービスは家電販売店やメーカー側の仕事で片づけられてしまうでしょう。アメリカの公立図書館のきめ細かな配慮は、おそらく国家や地域のIT戦略が関係しているのではないかと推測されます。電子機器の端末を使いこなせる人口が増えることで、より多くのIT機器が販売され、それが地域経済やIT産業の発展につながるという、おそらくそんな経済戦略的な側面があるのでしょう。

またフィラデルフィア公共の図書館の子供書籍コーナーには、ITの活用によるゲーム感覚で楽しめる学習機器が置かれており、子どもたちが機器を使い遊びながらことばを覚えたり、絵を描いたりできる環境となっていました。こうしたIT学習機器は、理工系の大学との提携により安価に製造してもらっているようで、こんなところにも産学官の密接な連携が垣間見えました。

古い貴重な資料を電子データ化して保存する作業は、アメリカの各都市の図書館で進められており、歴史的な高い価値のある入手困難な書籍などを電子データとして提供するサービスが始められていました。図書本館でお聞きしたのは、毛皮に金の文字で書かれた古文書の例です。おそらくインディアンの時代の貴重な覚書のようなものかと想像したのですが、それを一般への閲覧を許せば文書の傷みが激しくなるため、電子データ化したものを閲覧してもらう。現在はそうした膨大な古文書の電子データ化作業が、大変忙しいとのお話でした。

  • 大学図書館の感想

公立図書館とは若干性格を異にしますので概略のみに留めますが、大学図書館はフィラデルフィア市内で、ペンシルバニア大学とテンプル大学の2館を視察させていただきました。

ペンシルバニア大学図書館の1、2階は、IT機器が充実した自由な議論の空間という雰囲気がありました。1階にはカフェが併設されており、飲食の持ち込みは可能。一方、3階以上は専門科目を学ぶ大学生らの調べ学習室とされ、こちらは静粛性が保たれ、大型の書棚から必要な紙書物を取り出しての学習が行われていました。もちろん館内はWi-Fi環境が整っており、論文を書く場合は個人のPCが使えます。

備え付けのITを活用し自由な議論のできる低層階以外は、日本と同じ印象の図書室であります。安城市でもこのペンシルバニア大学のように、活発にコミュニケーションができる空間を設け、また、IT機器と従来の書籍をうまく使い分けられる図書の在り方が求められると思われ、新しい図書館のよき参考モデルとなりました。

ペンシルバニア大学インフォメーションコモンズ

一方、テンプル大学のTECH Centerという図書館の別館は、名の通りの技術センターとしか思えないような空間で、紙書籍は一切見られず、 数えきれないほどのPC端末が見わたす限り並んでいるばかりです。館内には700台のPCが置かれているそうですが、学習に使いたい学生が多いため、予約制で席の確保が必要でした。パソコンに不慣れな学生については、能力の高い学生が24時間指導する体制ができていました。教える側の学生の時給は基本的に約600円ですが、深夜帯には約1200円に上がるということです。

ちなみに大学の学費は、ペンシルバニア大が年間約460万円、テンプル大が年間約230万円とお聞きしました。日本では信じられない高学費で、アメリカの大学生は留年を恐れて死にもの狂いで勉強するという理由が分かりました。また、学生らはそうした過酷な学習環境に置かれるため、大学図書館は24時間開館し、学生の徹夜利用を可能にしています。(お金の額は、現在の1ドル約77円で換算しました)

学生がバイトやサークル活動さらに就職活動など、学業以外に多大な時間を費やす日本の大学事情と、世界中から集まる学生が死に物狂いで猛勉強に明け暮れるアメリカの大学を比較した時、日本の未来に不安を覚えてしまうのは私だけではないと思いました。

視察から学んだこと

日本国内の図書館は、現段階ではどこも紙の書物を置くことを主体とした図書館が大半で、こうした環境の中で図書館の未来像を想像しようとしても、その具体的なイメージが浮かびませんでした。それだけにIT化への整備が進みつつあるアメリカの図書館を見られたことに、大きな意義を感じました。

また日本の行政サービスでも最近では、e-taxなど申告書類のIT化が進みつつありますが、パソコン初心者を丁寧に教える体制はなく、自宅にパソコンのない市民への配慮が欠けているように思われます。日本国内での市民のデジタル・デバイド(情報格差)への対応の必要性を痛感させられました。

本市における安城更生病院跡地への新図書館建設については、市民の皆さんからいろいろなご意見があることは承知しています。私はより多くの市民の皆さんに議論の輪が広がり、むしろ関心をお持ちになる方々が増えることでより多くの意見が寄せられ、それによって時宜にかなった図書館像が仕上がってゆくことに期待をしています。

またこれまで図書館に足を運ぶことのなかった方にご活用いただくために、今後、図書館のIT環境、特に提供するソフトの充実について熟議を重ね、より付加価値の高いサービス提供を目指したいと考えています。

そのためには私たちがすでにまとめた新図書館の基本計画を、IT活用という視点でもう一度見直し、従来の紙書籍による情報提供だけでなく、最新のIT環境を併せ持つハイブリッド・タイプ(紙とITの併用型)の図書館とすべきという結論を持つに至りました。日本国内にあまり例を見ない図書館となりますので、IT専門家のご意見も伺い、これからの時代に相応しい計画修正をしたいと思っています。

最後に、海外視察自体について考えさせられた出来事を記しておきます。ニューヨーク市内での図書館視察が一段落して夕食を食べていた時、3日間お付き合いくださったベテランの現地ガイドから、「ブロードウェイのミュージカルにお出かけになりますか」と聞かれました。もちろんそんな予定はありませんので否定をしましたところ、「この町に来てミュージカルもご覧にならないなんて、ニューヨークの文化を本当に理解したとは言えませんよ。ニューヨーク文化の表層的な部分だけ見てお帰りになっても、それは本当の文化理解とはなりません」との辛辣な指摘があり、思わず頭を垂れてしまいました。

社会のリーダーは、目まぐるしい国際情勢の中に新たな活路を見出すべき時代です。アメリカ流の感覚に新鮮な感動を覚えることが多々ありました。

むすび

現在の安城市中央図書館は昭和60年に建築されており、築後27年目を迎えています。建物の耐震強度などは使用に耐えられない状況ではないものの、平成の出版ブームなどの影響で多くの書物が発刊されてきたため、35万冊の蔵書能力に対して、すでに約44万冊が収納されており、今後発刊される書物の収納を考えると、中央図書館の長期運営のめどは立たなくなりつつあります。

もちろん使用可能な現在の建物を取り壊すということではなく、施設の他の目的への転用を考えつつ、スペースの余裕を持ちIT環境の充実した新しい図書館の建設を検討することが適当と考えます。書籍の電子化が進んだとしても紙書籍発刊が止まる訳ではないので、蔵書スペースにはさらに余裕を作るべきです。

また図書館IT化では、来館者へ魅力あるソフトの提供が可能になれば集客力が増す可能性があることを、今回のアメリカ視察で感じました。

資源のない日本で国家や地域の未来を考えた時、私たちが取り組むべきことは人材育成ではないかと考えます。多彩な知的訓練を受けられ、かつ最新の社会情報を入手可能な知の拠点として、新図書館の建設は焦眉の課題といっても過言ではないでしょう。

幸い、安城更生病院跡地に市有地が確保されています。他に新たな土地を求めるのではなく、利用人口の集積する中心市街地で図書館建設を進めることが、現段階では最も効果的な図書館スペース確保の方法であり、それにより中心市街地の新たな賑わいが創出できるものと確信しました。

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                                                                                                安城市長    神谷  学 

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