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更新日:2013年6月20日

罪の背景

私たち安城市で暮らす者にとって思い出したくない出来事ですが、今から約5年前の平成17年2月、市内の大型スーパーで買い物中の親子が襲われ、赤ちゃんが刃物で刺されて亡くなるという痛ましい事件が発生してしまいました。犯人だった男は、それまでに窃盗や住居侵入の罪を犯しており、愛知県下の刑務所で刑に服していたものの、模範囚として刑期を3ヵ月残して出所していました。凶悪犯罪を引き起こした時、犯人は保護観察所を無断で抜け出しており、保護観察制度のあり方は国会でも大きな論議を呼びました。

3月中旬、その犯人側の上告が最高裁で棄却され、懲役22年とした1・2審の判決が確定しました。改めて幼い命のご冥福をお祈り申し上げます。身の毛のよだつ本当に残虐な事件なのですが、それでも「罪を憎んで、人を憎まず」のことばにしたがい、罪の背景を私なりに考えてみました。

新聞などの報道によれば、犯人は幼くして両親と死別しており、世の中に頼れる人がいなかったようです。すでに一定の刑に服し、自立し再起を図るために安城市界隈で職探しをしていたものの、採用してもらえる企業を見付けることができず、放置されたままの廃車の中で寝起きしていたようです。ホームレスの状態になり、社会の中で完全に孤立してしまったことで精神を病み、凶暴な犯罪を引き起こしてしまった可能性が高いと思われます。

 

5年も前の嫌な事件を今また思い起こしましたのは、判決確定のニュースを聞き、ふと現在の世相が、あの凶悪な事件を生み出した社会背景に近づいていないだろうかと案じてのことです。不本意な解雇や勤務先の倒産などにより、職や住居を失ってしまったという方が、今も少なからずおいでになるという残念な現実があります。かつては人手不足が喧伝されていた刈谷職業安定所管内の有効求人倍率は2月の時点で0.46。この数字は愛知県平均の0.58、全国平均の0.47よりも悪い状況にあります。

不幸にも職を失ってしまった方で、住まいもなくなったホームレス状態の方が、引き続き社会の一員として再起を図るための努力ができるように、安城市では福祉政策として「ホームレス対策事業(緊急一時宿泊事業)」を実施しています。一時市内の宿泊施設に泊まってもらい、食事の提供を行うという制度です。

こうした仮住まいの間に、ハローワークによる「就職安定資金融資」や生活保護制度により、公営住宅やアパートなどの定住先を探してもらい、入居を決め、求職活動ができる状態から再起を図ってもらいたいと願っています。また、住まいを失うおそれのある方には、一定条件を満たせば、「住宅手当緊急対策特別措置事業」を活用し、住宅手当を支給することも可能です。これらの制度を活用してホームレス又はホームレスのおそれのある状態から脱した方々は、昨年秋から今春にかけてすでに40名程度おいでになります。

サポート事業のパンフレット

 

世界同時不況、トヨタ・ショックといった社会現象と呼応する形で、私たちの地域社会のセーフティーネットを充実させたつもりですが、あの悲惨な事件が発生した当時に、現在のような支援制度があったら・・・と考えますと心が痛みます。ただ、今から5年前のあの時代、この地域は「元気な愛知」といわれるほど社会には活力が満ち、地域産業では人手不足が深刻に語られていました。そんな世相の中、あの犯人のような境遇の人の存在にまで、私たちの想像力が及ばなかったことを反省させられます。

まだしばらく厳しい経済状況が続くものと考えられます。本市では上記の福祉政策の他、国・県の緊急雇用創出事業の補助制度を活用し、年間で合計200人ほどの雇用創出を予定しております。皆さんにお納めいただいた貴重な税金を有効に活用させていただき、市役所の全組織横断的な対応を図り、地域社会のセーフティーネットをより強固なものにしてゆきます。

 安城市長 神谷 学

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