ここから本文です。

更新日:2013年6月20日

百年樹人

私の知る限りではこの十年来、安城市ご出身の方が、中央官庁のトップとして、また地元大手企業のトップとして、全国レベルで注目されるようになってきていました。こうした傾向をとても嬉しく、また誇りに思っていましたが、いよいよ世界的に高い評価を受ける方々が安城市から誕生されるようになってきました。

多くの市民の皆さんがご存知なのは、若手ピアニストの田村響さんと女子柔道選手の谷本歩実さんでしょう。

田村さんは一昨年の秋、フランスのパリ市で開催された国際音楽コンクールで、日本人としては15年ぶりにピアノ部門で優勝されました。昨年の春、安城市からは市民栄誉賞を授与させていただきました。一方、谷本さんは、昨年夏の北京オリンピックにて63キロ級で金メダル2連覇という快挙を成し遂げられました。昨秋、安城市からは市民特別栄誉賞を授与させていただいています。

さらに最近、また新しい朗報が入ってきました。安城市ご出身の東京大学大学院教授の福山透先生が、ご専門の理学系の研究成果で世界的な評価を高められ、5月26日に中日新聞社から中日文化賞を授与されたのです。福山先生は薬品となる天然由来の化合物を、人為的に効率よく合成することに注力され、抗がん剤の画期的な合成に成功されています。

このように芸術、スポーツ、学術と、さまざまな分野で世界的な高い評価を受けられる方々が複数出ておいでになられました。これだけ有能で多彩な人材を輩出できる町は日本中でも、なかなか例は少ないのではないでしょうか。

 

中国に「十年樹木百年樹人」という古いことばがあると知りました。「樹」は立ち木を表す他に「立てる」の意味があるようです。よってここでの「樹木」は木を立てる、つまり木を育てることを意味します。一方、「樹人」は人を立てる、つまり人を立派に育てあげることを意味します。「十年樹木百年樹人」の意味するところは、「木を育てるには十年あれば十分だが、人材を育てるには百年の歳月を要する」というものです。

非常に優れた人材が輩出される背景には、ご本人のご努力はもちろんでしょうが、教育に深い理解のあった親や祖父母がおいでになり、また学校教育や交友関係など、ご本人を取り巻く生活環境全般が整えられていたこともあると考えられます。

日本でもかつて、「米百俵」ということばが話題になりました。優れた人材育成には長期的な視点に立ち、何よりも優先的に投資を続けてゆく覚悟が必要だということです。そうした諸々の環境を整えるのには、一世紀にも及ぶ教育への社会的な投資と環境の整備が必要だということなのでしょう。何ごとも短期間に成果を求めがちな最近の世相にあって、深く考えさせられる格言です。

私たちは今、終戦後64年目を迎えようとしています。また、安城市制を施行して今年が57年目となります。大きな歴史的な節目から、まだ半世紀少々が経過したばかりですが、すでにこれだけの有能な方々が安城市から巣立たれました。

今後の安城市制百年の歴史から、さらにまたどんな偉人が輩出されるのでしょうか。今度はどんな分野から、素晴らしい実績が出てくるのでしょうか。それを想像するだけでも楽しいものです。

暗いニュースの多い世相となりました。それだけに社会に勇気や希望を与えて下さる本市ゆかりの逸材を大切に見守り、皆でご激励を申し上げられる地域でありたいものだと願います。

 安城市長 神谷 学

過去のメッセージ

お問い合わせ

企画部秘書課秘書係
電話番号:0566-71-2201   ファクス番号:0566-76-1112