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更新日:2013年6月20日

ことばの力

秋は文化の秋、運動の秋、食欲の秋など、いろいろな活動をするのに適した気候からでしょうか、多様な行事が開催されます。こうした様々な公式行事の式典に出席してあいさつし、激励申し上げるのが市長の仕事の一つでもあります。しかし、一日にいくつもの行事が重なってしまうことがあり、副市長と手分けをしたり、また担当部長に任せたりと、ご無礼を申し上げてしまう催しも出てきてしまいます。

今年は二人の市民栄誉賞受賞者が誕生。写真上が田村響さん、写真下が谷本歩実さん

特に去年から今年にかけての2年間は、例年になく行事の多い年であったとしみじみ振り返ります。昨年は安城市政55周年の年であり、さまざまな周年記念行事の多い一年でした。また今年は三河安城駅開業20周年、第55回安城七夕まつり、安城市体育協会60周年、安城商工会議所55周年の他、春には田村響さんへの、また秋には谷本歩実さんへの市民栄誉賞授与式など、枚挙に暇(いとま)のないほど行事に次ぐ行事の感がありました。毎年恒例の行事の他に記念事業があるのは大変おめでたいことなのですが、度重なるあいさつに頭を痛めてしまうのは市長就任当時も今も変わりはありません。

記念行事の一つひとつに、それぞれ独特の意義があります。安城市主催の式典には、それを挙行する目的がありますので、参加される方々に式典の意義がきちっと伝わらなければなりません。また、来賓として出席する式典には、行事を主催される方々の思いが込められています。そうした主催者のお気持ちを汲み取ったあいさつでなければならないと考えます。

あれこれ話をしようと力めば内容が冗長になりがちですし、手短に済まそうとすると思いが十分に伝わらないのではと心配になります。今もってその場の雰囲気にふさわしい、納得のいくあいさつは難しいものだと痛感させられるばかりですが、なんとか私のことばで祝意を表したいと思い、今なお、日々悩み続けています。

世界が注目した最近の大きな公式行事といえば、アメリカの大統領選挙が挙げられるでしょう。まだ40代と若いオバマ氏が本当に勝つのか、勝つとすればどれほどの勢いで勝利を手にするのかが注目されましたが、事前の予想を上回る大勝利となりました。

世界が先行き不透明な時代を迎えたため、アメリカの有権者は自国のリーダーとして若く新しい選択肢を選んだのでしょう。しかし、単なる目新しさに惹(ひ)かれただけではなく、彼の巧みなスピーチが多くの有権者の心を魅了したことも大きな勝因と考えられます。

彼の演説は聴衆と自分を一体的にとらえ、国民と自分自身に言い聞かせているかのような話法を使うところに特徴があると感じました。代表的な「Yes, We can.」というひと言には、自分ひとりでは多難な時代を乗り切るほどの力はないが、あなた方多くの国民が真剣になって力を貸してくれれば、必ず道は拓かれるという信念が感じられます。小学生でも分かるアルファベット8文字のことばに彼の謙虚さと、国民を鼓舞し国をリードしようとする情熱が感じられます。

日本語には言霊(ことだま)ということばがあります。ことばの中には不思議な精霊が宿っているという思想があり、日本の国は「言霊の幸(さきは)ふ国」と万葉集に歌われています。また西洋では聖書の中に「初めにことばがあった。ことばは神と共にあった。ことばは神であった。」という下りがあります。洋の東西を問わず、ことばをおろそかにして社会は成り立たないとまで考えられていたのでしょう。

ことばに秘められた神秘的な力により社会を動かすほどの政治家になろうとするなら、もっと頭を痛めてメッセージの中味を推敲する必要があると痛感させられます。市長就任6年目ですが、まだまだ未熟な自分に気づかされた行事の多い秋でした。

安城市長  神谷 学

 

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