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更新日:2013年6月20日

歴史を生きた方々

今年の夏は格別な暑さが続き、ひょっとして秋の到来はないのではないかと不安を感じたほどでした。しかし、昼間の残暑は未だ厳しいものの、秋の気配は想像よりやや早めにやって来てくれたようです。「暑さ寒さも彼岸まで」、昔の人のことわざは今もなお生きていると安堵させられます。

わが家は周囲をブドウ畑で囲まれているせいで、秋の気配が感じられると夕方以降、虫の音がとてもよく聞こえるようになりました。また農道脇の彼岸花も例年通りの開花に備えているようで、こちらもやれやれといった感じです。

こうして少しずつ秋の気配が感じられるようになった9月初旬、敬老の日に先立ち市内の高齢者の皆さんへの慰問に回りました。90歳、95歳、99歳以上のご高齢の方のお宅へ、私を始めとする市の福祉関係者が手分けをして、毎年訪問させていただくこととしています。長寿化が進んでいる中、今年は訪問対象となる数は320件となりました。

104歳を迎えられた市内最高齢者の深津セツさん

104歳を迎えられた市内最高齢者の深津セツさん

私自身が直接訪問したのは、市内最高齢者の深津セツさんと今年満100歳を迎えられた南部方面の高齢者、合計5名の方々でした。深津さんは福釜町地内にある特別養護老人ホームに入所しておられ、恵まれた環境で生活しておられるせいかお顔のつやも色も非常によく、外見からはとても104歳には見えません。

私はすでに4名の祖父・祖母をすべて亡くしておりますが、もしも生きていたのならこのくらいの年齢になっておられたのだろうかと、親しみと懐かしさを覚えました。耳がとても遠く、大きな声を出してもほとんど伝わらないため、会話はとんちんかんなものになってしまいがち。でも、それがまた何ともいえぬのどかな雰囲気を醸(かも)し出し、深津さんを囲む私たちにとってはつかの間の癒しの時間となりました。

今年で満100歳をお迎えになられた方々がお生まれになったのは明治40年。日清・日露の戦争に勝利し、おそらく日本全体に高揚感の漂う時代に生を受けられ、もの心つく頃には第1次世界大戦。青春時代以降、日本は第2次世界大戦へと突入してゆきます。このように最も多難な時代を送られ、また戦後の復興に尽くされた世代、それが今年100歳をお迎えになられた皆さん方です。

ことばで言い尽くせぬご苦労を重ねられたにもかかわらず、今となっては耳も遠く、目もよく見えない好々爺(こうこうや)となった方々の幸せそうなお顔を拝見していると、人間の幸福というものについてあれこれ考えさせられます。

今を生きる私たちは、遠い昔から社会はずっと平和だったかのような錯覚に陥っていなかったでしょうか。また、これからも幸福な生活が無条件に続くような甘さが、私たちの精神を蝕(むしば)んではいないでしょうか。

私たちの世代は高齢世代が得られなかったものを得た代わりに、高齢者の方々が享受できたよき生活環境を取り戻す苦労を覚悟せねばならないのではないか。いろいろ反省させられました。

安城市長 神谷 学

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