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更新日:2013年6月20日

脚下照顧(きゃっかしょうこ)

「初心忘るべからず」ということばがあります。そもそも私たち人間は、最初に思い立った時の意気込みや謙虚さを忘れてしまいがちな生き物であり、これを戒めるためにことわざとして語り継がれてきたものなのでしょう。

市長に就任して以来、土・日の早朝は座禅に出かけることに心がけてきました。禅寺で「なぜ座るのか」は座る人それぞれなのでしょうが、私は週に一度、人間としてのあるべき原点に立ち戻るつもりで座っています。

禅宗の立場からすれば「そもそも座禅はお釈迦さま伝来の修行方法で・・・」ということなのかもしれませんが、仏教の解説書などを読みますと座禅の基本である正身端座(しょうしんたんざ)という座る姿勢は、お釈迦さまが生きておられた紀元前6世紀以前から、古代インドのバラモンと呼ばれる階級の僧侶らが日常的に瞑(めい)想にふけり、精神の安定を得るための基本的な形だったのではないかと考えられます。

肉体的にも精神的にも最も安定できる状態にするため、まず姿勢を整え、次に呼吸を整え、そして心を整えます。静寂の中でただ座るだけなのですが、日常の喧騒(けんそう)の中で見失いがちなものに気付かされるような気がするのです。作務(さむ)と呼ばれるお寺の清掃活動と合わせて午前1時間ほどの素朴な時間ですが、1週間で最も精神的な充足感が得られるひと時に感じられます。

日常生活にこうした原点回帰の時間が必要なように、社会諸々の活動にも原点回帰の必要性があると考えられます。

行政活動でいえば、安城市がすでに導入しているISOの活動や、これからの導入を予定している行政評価などが、それらに該当するのではないでしょうか。それぞれ1年間の予算執行や行政活動を振り返り、改めての検証や反省をしたうえで、さらによい方向性を次年度に求めてゆくものです。

日常的な惰性にずるずると流されるのではなく、一度立ち止まり、足元を見つめ直し、そして次の新しい一歩を踏み出してゆく。原点回帰が重要なのは、一個人も行政機構も同様でしょう。また、それは政治活動にも当てはまるでしょう。

政治家にとっての原点回帰の時、それは4年に1度の選挙の時期にあるといえるでしょう。私たちの地方では知事選が始まっており、今後、市長選・県議選・市議選が次々と行われます。すでにいろいろな立場の方が立候補を予定しておいでになります。多くの有権者による客観的視点での評価を受ける前に、全ての立候補予定者は謙虚に自己評価することを迫られます。

立候補を志す者は大変な緊張を強いられる時期なのですが、こうした緊張感が社会を新しく再生させてゆく原動力になることでしょう。有権者の関心は政治に緊張感を与え、逆に有権者の無関心は政治を弛緩(しかん)させてしまいます。人生・社会・政治、いずれもほどよい緊張感と初心に立ち戻るひと時が重要であることは言うまでもありません。

仕事始め式の様子

仕事始め式の様子

なお、冒頭のタイトルの「脚下照顧」には、「他に対して理屈を言う前に自分の足もとをよく見ろ」という意味があり、禅寺の玄関先に掲げられている自己反省を促す忠言です。

統一地方選挙の時期にふさわしいことばなのかも知れないと思い、自戒の意味も込めて選ばせていただきました。

安城市長 神谷 学

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