市長のページ

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更新日:2013年6月20日

2つの映画から

4年ほど前の市長就任以来、あわただしい生活の中にも静かに市政や生活を振り返る時間を持ちたいと考え、土曜日・日曜日早朝には「座禅の会」に出かけることとしました。まずは座禅を30分ほど組み、作務として寺院内の掃除をします。掃除終了後には茶話会があり、世間話に花が咲きます。

この座禅会の常連に、80歳過ぎのおじいさんがおられました。若い頃、満州国に兵士として派遣されたのですが、第2次大戦の終戦間近にソビエト軍によりシベリアに抑留され、鉄道建設に従事させられた体験をお持ちの方でした。茶話会ではよく戦争時の体験談をお話され、戦争を知らない世代の私にはよい勉強となりました。

戦時中の航空基地を記録する碑
(東端町)

そのおじいさんが過日ご逝去され、それ以来、座禅の会には戦争体験を語る人はいなくなってしまいました。終戦から61年が経ちます。貴重な戦争体験を持つ世代の方は、ますます減ってゆくことでしょう。

そんな折、私はアメリカ映画「父親たちの星条旗」という映画を観ました。また、ごく最近になって封切られた続編「硫黄島からの手紙」も観る機会を持ちました。

2編の映画ともに第2次世界大戦下の硫黄島での日米決戦を再現した映画で、前編は従軍したアメリカ兵士の回想を基に、後編は日本軍指揮官とその周辺の兵士たちの遺された手紙を基に、日米それぞれの兵士らの視点から戦争と人間の本質が鮮明に描かれていました。

日米の兵士らの回想や手紙からは、ともに遠い郷里の妻子に思いを馳(は)せる彼らの心情がはっきり読み取れました。悲惨な殺戮(りく)の場と化した硫黄島でしたが、兵士らの祖国と家族への愛情の深さが故に、命懸けで戦わざるを得ない状況が生まれたのでしょう。勝った国、負けた国、双方の戦うための大義が読み取れました。

しかし、母親が戦地のわが子の無事を願う気持ち、妻や恋人が伴侶の帰国を待ちわびる心、そして故国に残した伴侶を案ずる兵士らの気持ちは、日米お互いに共通したものです。人間の本質は国家を異にしても変わらないという、当たり前のことを改めて痛感させられます。

国が違い、肌の色が違い、ことばが違っても、温かな血の通う同じ人間であることの深い共通認識を、それぞれの国民が持つことができていたなら、あれほどの惨劇に至らなかったのではと考えさせられます。国民同士の国際交流の重要さというものを再確認させられました。

第2次世界大戦に至る過程では、日本国内には最後まで外交交渉による解決を願う人々も多かったようです。

しかし、時の政権は最終的に戦争への突入を選択しました。指導者らの誤った最終判断が、罪なき多くの国民を兵士として戦場に追いやり、銃後の守りを任された家族を悲嘆に暮れさせたと言えるでしょう。社会をリードする人たちの判断で、社会は良くも悪しくも変わってゆきます。

もうあんな不幸な戦争を繰り返す愚を繰り返してはなりません。現在の私たちの平和社会というものは、過去の痛ましい戦争の反省の上に成り立っていることを、いつまでも忘れてはなりません。

最近になって、高校生たちの歴史科目未履修が社会問題となりました。不幸な戦争に至った過去の歴史的な経過を知らないまま、多くの若者たちが大人になり、この国のリーダーに育ってゆくとすれば、その代償は将来計り知れないものになる可能性を秘めているというのは大げさでしょうか。

「歴史は繰り返す」ということばがあります。殊に戦争に関しては、このことばを死語にしたいと切望します。若者たちにも、ぜひ観てもらいたい2つの映画だと思いました。

航空基地の燃料を貯蔵したコンクリート倉庫
(東端町)

安城市長 神谷 学

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