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更新日:2013年6月20日

萌春

まだ20代の前半、私は標高1300メートルもある八ヶ岳山麓の農学校に勤めていました。高冷地のため、冬の屋外の気温は零下20度以下を記録し、まさに氷の世界そのもの。寒さというより、猛烈な痛みを伴う冷気の中で生活した経験があります。

極寒の冬に耐えた身に、春の訪れの喜びは格別で、だれの顔にも満面の笑みがあふれていました。嬉しさがこみ上げてきてしまうのです。私はカラマツの新緑が好きで、陽光の中、目に鮮やかな淡い緑の林をよく歩いた記憶があります。

温暖な安城市で迎える春の喜びは、あれほど強烈なものではありませんが、それでも自然界の新陳代謝には気分を一新させられるものです。

新規採用職員への研修

この季節、気分一新は屋外だけでなく、学校・職場の雰囲気も同様です。市役所内では、希望に胸を膨らませた新入職員のまぶしい姿に、昔の自分を重ね合わせるベテラン職員も多いことでしょう。こうした人間界の新陳代謝が、社会や組織に新しい活力をもたらしてくれるのです。

私は学生時代に、仏教哲学に凝っていたことがあります。その頃読んだ仏教書の釈迦のことばで、比喩として「蛇の脱皮」が幾度も語られていたことが奇異に感じられた記憶が残っています。

現代人は蛇をグロテスクな象徴として見がちですが、古人は脱皮をしながら成長する蛇の「古い体から、新しい体に生まれ変わる」という神秘性に注目をしていたのではないかと考えられます。古い体質や既成概念を打ち破り、新しい身体に生まれ変わって成長を続ける蛇に、新たな生命力と永遠の命を連想し、畏敬の念を抱いたのではないでしょうか。

古いなじみのある殻の中は、案外居心地がよいものでしょう。でも、そこに安住を続けようとしている限り、成長も進歩もなきに等しいということを忘れてはなりません。

さて新聞・テレビでは、相変わらず心の暗くなるようなニュースが、次々に報道されています。

しかし、私たちの地域では、すでに21世紀の新しい活力の息吹が感じられるようになって来ています。時代の潮流は、確実に変わってきているのです。私たちの社会は、長かったバブル崩壊後の後遺症からようやく抜け出し、活力に満ちた新しい時代へと移行しつつあると感じられます。

去りゆく冬の寒さが厳しければ厳しいほど、迎える春の訪れの喜びは大きいことを、私は体験を通じて知っています。

この地域で芽生えてきた新しい社会の活力を大切にし、全ての市民が暖かな春の到来を素直に喜べる、そんな社会への脱皮を進めてゆかねばなりません。

安城市長 神谷 学

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