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更新日:2013年6月20日

自然に抱かれている私たち Part2

春以降の降雨は少なく、梅雨に入ったというものの相変わらず雨の少ない日々が続いております。4月、5月、それぞれ降雨量は例年の1/3程度でしかありません。梅雨明け後の本格的な暑さを目前に控え、矢作川上流部にある私たち安城市民の水がめ「矢作ダム」の貯水量が心配になってきました。


上高地から徒歩4時間、梓川上流の風景。
下流域の安曇野は名水が湧くことで知られている。

いつもの年なら貯水率が60%ほどの矢作ダムは、6月半ば現在で貯水率40%を切る状態にあり、水道水で10%、工業・農業用水で30%という節水体制をとらざるを得ない状況にあります。この時期の貯水率を過去の事例と比較してみますと、10年ほど前、異常渇水年であった平成6年の状況に酷似していると思われます。

「湯水のように使う」とか「水に流す」といった日本人独特の比喩は、温帯湿潤気候に暮らし、水は無尽蔵にあるという感覚から生まれたものなのでしょうが、それも今は昔の話なのかも知れません。

産業活動が活発で、人口が集積している地域では、私たちの生活や命を守るために欠かせない水は、すでに有限の資源となっているということを自覚する必要があります。

山歩きが好きな私は、日本アルプスと呼ばれる山深い地域を歩いているうち、おいしい名水のある地域には、共通した条件があることに気づきました。広大な原生林や源流域の残雪など、水資源を育む豊かな背景を持つ土地の湧水に名水が多いと感じられます。

地下から湧き出るおいしい水は、雨水や雪解け水として地表からしみ込んだ後、地下層を透過する間にさまざまな自然のミネラル類が溶け込み、味わい深い水となって地表に湧き出してくるものと考えられます。

ところで、日ごろはあまり意識しない私たちの生命の水の源流である、矢作川の水源はどうなのでしょうか。

矢作川の水源は根羽村にあります。私も水源に行ったことがありますが、源流のすぐそばまで自動車で乗りつけることができるほど開発された山間部に水源はあったという記憶があります。人など容易にたどり着けないという険しい日本アルプスの源流域とは、山の深さ、年間を通じての降雨・降雪の量など、基本的な条件が違います。

今の大人がそれに気づかねば、子どもの時代にはもう手遅れかも知れないと、山歩きをするたびにさまざまなことを考えさせられます。下流域の安城市での生活からは想像できないような、か弱い私たちの母なる川の源に思いを馳せ、改めて自然の恵みというものを大切にする心を涵養してゆきたいものです。

「自然に抱かれている私たち」ということばの意味を、真に理解できる市民が一人でも多くなることを願ってやみません。


矢作川水源の森

安城市長 神谷 学

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