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更新日:2013年6月20日

ゴツムリくんのこと

先月末、本田桂吾君という車椅子に乗った青年が、付き添いのお母さんとともに市長室においでになりました。彼が、進行性の筋ジストロフィーという難病と戦っているということは、私も以前にお会いし、承知はしていました。

 

そんな彼が、私に1冊の本を直接贈呈してくれました。その本のタイトルは「ゴツムリくん月へ行く」という子ども向けに装丁された絵本でした。

「そういえば・・・」と、2年ほど前、彼が初出版をした「ゴツムリくんの小さな音楽会」のニュースがマスコミ等で取り上げられていたこと思い出しました。

 

重度の難病に侵された身で、自分と同じ重度障害を持つ方々のための自立運動を進めるかたわら、自らも引き続き地道に新たな創作活動も続けていたのだということを知りました。

自由になるのは、かすかに動く手と、首から上の部位のみ。あごや口を活用してパソコンのキーを叩き、かすかな手の動きによりマウスを動かしたと、ご本人からそう伺いました。動きにくい体を無理して酷使するために、こうした創作活動は1日2時間が限界なのだそうです。

 

私の想像を絶するような作業が、黙々と続けられていたのでしょう。30ページほどの絵本ではありますが、彼の並々ならぬご苦労を思うと、ずっしりとした重みのようなものすら感じられます。

「自分を含めて障害を与えられた人は、宇宙飛行士のようだと思えてしまいます。宇宙飛行士も生命維持装置の中で、無重力という不自由を抱えながら、さまざまな任務を遂行します。それを可能にしているのは忍耐と努力。私たちは似ていると感じるのです」。これは、この絵本のあとがきに書かれていた、本田君からのメッセージの一文です。


私たちは日常生活の中で、重度の障害を持つ方から、明確なメッセージを受け取る機会というものはなかなかありません。文章によりかろうじて自己表現のできる彼の心の叫びと夢が、この1冊の絵本に込められているのでしょう。

 

「ゴツムリくんというのは、実は本田くん自身のことだったのではないか・・・」。彼が、お母さんの運転する車に乗って家に着くころ、ようやくそんなことに気が付きました。

 

ゴツムリくんを通じて、重度の障害を持つ方々の心情というものを、以前よりも理解できたような気がしました。子ども向けの本ですが、多くの大人の方にも読んでいただきたい1冊だと、私はそう思いました。

安城市長 神谷 学

 

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