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更新日:2011年10月12日
平成11年度から、都市計画基本図のデジタル化とGIS導入に関する検討を開始した安城市では、平成12年度に地図利用の現況把握調査を行い、その結果から、「安城市地理情報システム基本計画」を策定した。
この中で、GIS導入の目標として次の3つを掲げた。
地図情報を多目的に利用し、業務の効率化・高度化を進め、地図作成・台帳作成業務の合理化を行う。
全庁的なGISを構築することにより、情報の共有化・一元化を推進し、データの重複管理による経費の二重投資を防止する。
窓口業務の正確性の確保と迅速化を図り、情報公開・情報提供にも活用し、市民サービス向上に寄与する。
この目標達成に向けた取り組みについて,基本的な考え方を、基本方針として次のように掲げた。
導入にあたっては、長期的な計画に基づき、段階的に導入・利用を拡大し、手戻りや無駄の少ないシステムの構築を図る。
地図データの全庁共有化を目指し、全庁で使えるシステムとするため、その管理・運用体制の確立を図る。
システム構築にあたっては、データ管理の重要性と適正化、費用対効果を考慮し、再構築のない適正規模のシステムを効率的に開発する。
GISではデータが最重要資産であることから、庁内で基盤的に共通利用されている基図データ(地形図、住宅地図、地番図など)の整備と、全庁的に波及効果の高い個別データ(都市計画情報、道路台帳情報、土地情報など)の整備を計画的に実施する。
地図利用の現況把握調査から、庁内の業務で頻繁に地図が使用されている一方で、紙媒体の地図を利用することによる作業効率の悪さや地図の二重管理による無駄な経費の発生など、さまざまな問題が明らかになった。こうした問題の多くは、GISを導入することによって解決できる問題であり、特に、全庁的にGISを導入することによって、重複投資を避け、データの整合性を確保することが可能となる。また、電子自治体実現の基盤としても重要な役割を担うものであり、行政事務の高度化、市民サービスの高品質化を図るため全庁的なGIS導入を基本計画に位置づけた。
GISのエンジンとしては、全庁的な統一性が取りやすく、管理しやすいWeb型のGISを採用することとした。Web型のGISはブラウザをベースとするため、操作の習得時間が低減でき、クライアント数が多くなる場合に、管理コストやクライアント1台当たりの導入コストを低く抑えられるメリットがある。
全庁型GISの全体計画の中では、各個別業務によって、さまざまな業務アプリケーションの開発が必要となるが、これらのアプリケーションの開発方式は、基本アプリケーション共通型とした。GISの基本的な機能については、基本アプリケーションにおいて庁内全体で共有し、各業務固有の機能については個別のアプリケーションで実現させるものである。これによって、簡易な場合は基本アプリケーションのみの導入でGISを利用することができ、全体での導入コストを低減することができる。また、機能拡張や個別アプリケーションの開発を段階的に行い、アプリケーションの大規模化を避けることができる。
GIS基本計画をもとに、平成14年度に基本アプリケーションを開発し、平成15年7月には、基本アプリケーションを基盤に全庁的にGISの運用を開始した。この基本アプリケーションは、GIS基本計画で示したように、GISの基本的な機能を庁内全体で共通利用するもので、そのため、情報の検索、閲覧を主体とし、操作の習得に特別の技術等を要しない簡単な操作性を持つアプリケーションである。
庁内のパソコンのほとんどが、ノート型パソコンであることから、地図表示画面を大きくとり、検索などの機能画面はボタン呼び出しにより必要時のみ表示させるようにした。地図を使った資料作成、簡易台帳作成、画像ファイルとのリンクやデータ編集も可能となっており、個別のアプリケーションを用意しなくても、多くのことはこの基本アプリケーションで可能である。



基本アプリケーションを運用開始するにあたり、システムのなかで重要な要素である地理情報(データ)の共有・一元化について、安城市では次のような仕組みを持って運用している。
レイヤによる情報共有のレベル分けとは、基本アプリケーションでユーザーが利用するレイヤを、基本レイヤ、共用レイヤ、ユーザーレイヤの3つに分け、それぞれのレイヤで情報共有のレベルに差をつけるものである。
基本レイヤとして設定するデータは、地形図、航空写真、住宅地図などの共用データで、基本アプリケーション上で編集等はできないが、背景図として全庁で閲覧が可能なデータを配置する。
共用レイヤとして設定するデータは、ひとつは、全庁で情報共有するデータで、全庁で閲覧、編集を行うデータである。このレイヤに配置するデータとしては、建設残土情報、土質調査等のボーリングデータ、災害時の被災情報の共有などが想定される。一方、部署単位や一部の部署でしか情報共有できないデータや、その方が良いと思われるデータについても共用レイヤで管理し、その単位で閲覧、編集を行う。
ユーザーレイヤのデータは個々のユーザーで閲覧、編集を行うデータである。ただし、ユーザーレイヤのデータは、エクスポート・インポート機能により、別媒体への保存や取り込みは可能である。
データ交換機能は、これら3つのレイヤでのデータの相互変換、あるいは外部作成データとのやりとりのための機能として整備している。

基本的に、安城市が整備するGISデータについてはすべて、G-XML形式でのデータ納品とする。ただし、既存のデータや外部データなど別形式で保存されているデータが発生する可能性はある。その場合、基本アプリケーションで利用するためには、G-XML形式に変換する必要がある。基本レイヤへのデータ設定は、G-XML形式のデータを管理者用のデータ交換ツールを使いインポートを行う。共用レイヤへの設定についてもG-XML形式のデータをインポートするが、データ編集を行うレイヤであるため、地物構造の設計が必要となり、属性項目の名称やデータ型の指定を行う。ユーザーレイヤとして作成した個々のデータを庁内で共有するために、ユーザーレイヤから共用レイヤへデータ変換を行う。この場合も地物構造の設計が必要となる。基本レイヤ上ではデータ編集が行われることはないため、基本レイヤデータをエクスポートする必要はない。しかし、ユーザーレイヤ・共用レイヤで編集したデータを外部提供する場合や個別アプリケーション等で利用することは想定されるため、共用レイヤから両レイヤで作成されたデータをG-XML形式にエクスポートする。
情報の共有・一元管理のためには、メタデータの作成が重要となる。しかし、地理情報標準で示されるようなメタデータの作成を、GISに関する知識が不十分な一般職員に対し、行うよう指導することは、大変困難である。そのため、安城市では、標準化の趣旨からは外れるが、庁内でのデータ管理を重視し、簡便なメタデータ作成基準により運用している。地理情報標準のメタデータ項目名を、独自の項目名に変え、項目数も絞った形式とした。また、当面、クリアリングハウスの整備は行わず、Excelのフィルタ機能を代替利用している。
GISデータの一元管理を図るため、「全庁型GIS運用管理事務取扱要領」を策定し、データ作成・更新時の手順を定めた。データ作成時には、まず、システム管理者に事前協議を行い、その時点でシステム管理者は、作成データが庁内で共有すべきデータであるか、個別データであるかを判断する。共用データである場合には、作成されたGISデータ及びメタデータをシステム管理者に提出し、システム管理者側で保管管理し、庁内に公開する。個別データである場合には、GISデータの保管管理は、データ作成部署で行うこととなるが、メタデータについては、システム管理者に提出し、システム管理者側で公開する。このような仕組みにより、データの一元管理を効果的に実施している。
当初導入時には、庁内全体で共通利用できる地図操作、作図、検索、印刷、計測、ユーザー管理などの基本的な機能を備えた基本アプリケーションのみで運用を始めたが、個々の業務に対応した機能を追加したいという要望が出てきたため、機能追加の検討を行うこととなった。その際、個々の部署業務に対応した個別アプリケーションを展開するのではなく、より利用価値が高く、機能のメリットをより多くの部署で享受できるように、各部署の要求機能の共通項を抽出した業務タイプ別アプリケーションとして整備していくこととした。窓口業務用とファイリング用の機能を業務タイプ別アプリケーションとして整備したが、これらの機能は基本アプリケーションにアドインする形で整備したため、データ、システム、エンジン等は基本アプリケーションと共通である。このように個別業務機能も含めて一元管理・一括保守することで全庁型GISの費用対効果を高めることができた。

窓口業務用アプリケーションは、機能的には基本アプリケーションと全く同じであるが、ユーザーインターフェースを窓口訪問者用に改良したアプリケーションである。特別な訓練や予備知識なしでも直感的に操作可能で、誤操作を起こしにくくし、端末画面にはタッチパネル式ディスプレイを採用し、指やタッチパネル用ペンで操作できるようにした。パソコン自体は汎用パソコンであるため、窓口端末毎に、表示レイヤを設定変更するだけで同じ窓口業務用アプリケーションでありながら、各部署の個別窓口用アプリケーションとして利用することができる。現在、4つの部署で都市計画情報、道路情報、農地情報、下水道情報等を窓口訪問者に提供している。
日常業務でよく使う紙台帳等をGISで管理するためにアドインしたのがファイリング用アプリケーションである。PDF、EXCEL、WORD、CADデータ、写真データなどに対応し、既存の紙台帳をデータ化することで汎用ファイリングアプリケーションとなる。窓口用アプリケーションにも適用できるので窓口にファイルを示すことも可能であり、下水道竣工図、排水設備台帳、道路境界立会調書、都市再生街区基準点、ボーリングデータ、都市計画決定履歴情報などをデータ化し、業務に利用している。
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